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BLEACH~The Thunder God~

第8章 漆ノ刻~運命の夜~


「でも…彼の心はアナタの中にある。アナタが彼を思う限り…彼はアナタの中で生き続ける…」

ル「……」

「きっと彼も、辛気臭いの苦手だろうし…」

ル「そう…ですね…」

ルキアちゃんから離れる。彼女は私に振り返った。その顔はまだ複雑な面持ちだが、きっとこの出来事はルキアちゃんを成長させる。これを乗り越えればルキアちゃんは強くなる。ただ毎日塞ぎ込んでいるよりかは、このことを受け入れ前に進んでいく方が志波副隊長も喜ぶだろう。

「よし! …じゃあ、茶屋にでも行く?」





それから数年の歳月が流れた―

眩しい光に青い空。雲ひとつない晴天に優しく心地よい風が肌を撫でる。瀞霊廷内は静かで平和だ。

ルキアちゃんは完全に克服したわけではないだろうが、あの頃より笑顔は増えた。さらには最近メキメキと実力がついていくのが分かる。尸魂界一美しい斬魄刀"袖白雪"は、今は亡き志波副隊長と一緒に編み出したものだという。志波副隊長と共に修行を重ねたからだろうか、ルキアちゃんにはもはや席官クラスの実力がある。

(…これからさらに強くなるんだろうなぁ)

空を見上げてしみじみ思った。なんか親のような気持ちだ。こうやっていろいろ成長していくんだろう。いいことだ。

身なりを整えて瀞霊廷を歩く。約百年前の事件のことは未だによく分からないが、それよりも今の日常に満足している。何か証拠や資料を探そうにも情報がない。であれば、今の状況を見つめて未来を見るべきだ。…私かっこいいな。

ふと、木刀がぶつかり合う音が聞こえる。フラフラと歩いていたら十一番隊の隊舎の近くまで来ていた。相変わらずの戦闘集団…。朝から元気だなぁ。あんま関わらないでおこう。面倒事はごめんだ。

(…とっとと消えよ)

その場から去る決意を固めた。宛もなくフラフラと歩きましょうか。

恋「あの…」

「…ん?」

声をかけられて後ろを振り返る。そこには奇抜な姿の死神がいた。赤く後ろで束ねたツンツンの髪の毛、特徴的な眉にゴーグルを着けた男性の死神だ。

「誰…ですか?」

恋「十一番隊第六席、阿散井恋次です。アナタは…神崎懍さん…ですよね?」

「はあ…まあそうですけど…何か用ですか?」

十一番隊にしては珍しい。血気盛んで向かって来るタイプじゃないとは…
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