第7章 陸ノ刻~荒んだ過去~
縛道の六十一"六杖光牢"―
縛道の六十三"鎖条鎖縛"―
2つの鬼道が男たちを捕らえ、さらに捕縛系の鬼道が男たちに向かって放たれた。男たちの意識は、完全に私に向いていたため、他の存在には気付くことができなかったのだろう。咄嗟に応戦しようとするも、すぐに捕らえられ、私と同じく地に這うような形となった。
浮「京楽…こっちは全て捕らえた。俺から上層部に報告しておこう」
京「ん、助かるよ」
数人の男たちを一瞬で捕らえたのは、私のよく見知った姿だった。浮竹は、男たちの斬魄刀を取り上げ、連行するような形でその場から去ろうとしている。京楽は、私に刺さった嘴突三閃を解除し、私を救出してくれた。
京「大丈夫かい。怖かったろう…」
そう言いながら、私を抱いた。大きい手が、頭を撫でる。大きい身体が、私を包む。その温かさと優しさに触れたことで、さっきまでの今まで感じたことのなかった恐怖が湧き上がり、何とか自信を保っていた何かが決壊したのか、京楽の胸で泣いた。
「うぅっ…ありがと…こわかったよぉッ」
両手で京楽の袖を掴みながら、ぐしゃぐしゃになった感情を彼の胸で落ち着かせた。どれだけ私が声を荒らげようと、どれだけ私が嗚咽しようと、彼は変わらず優しく頭を撫で続けてくれた。
いよいよ落ち着きを取り戻したころ、それでも私はボロボロになった顔を見せたくなくて、京楽に抱き着いたままだった。情けない姿を見られて羞恥に苛まれていた時、浮竹が声をかけてきた。
浮「どうやらアイツらは、神崎のことを極端に恐れていたようだ。口々に人間の姿に化けた化け物だと…。存在を抹消すべく行動に移そうとした過激派がアイツらで、女の姿をしているなら…いい思いをしようと…」
京「いろいろと腐った考え方だねぇ。あんなヤツらがいると分かったら、学院が怖く感じるねぇ」
「…2人は…私が化け物ってこと…どう思っているの?」
京楽の胸に顔を埋めながら聞いた。
浮「どうも何も、神崎は大切な仲間であり友達だ。仮に化け物であっても、俺はお前の味方だ」
京「キミの強さを化け物って形容するのは、あながち間違いじゃないと思うけどねぇ。でも、浮竹の言った通りボクらは懍ちゃんを守る。こんなカワイイこを泣かせるヤツは、ボクらがしょっぴくからさ」