第2章 壱ノ刻~昇進~
「おーい砕蜂ちゃん!」
砕「!…懍様。お久しぶりです!」
二番隊
それは主に隠密行動に優れた実力派揃いの戦闘部隊。
私がまだ席官に就いていない頃、一時期刑軍に所属していた。
その時に出来た友達が砕蜂ちゃんだ。
後に八番隊の五席に昇任してから、私には敬語を使うようになってしまった。
私としては寂しいけど、公私を分ける彼女のプライドが許さないのだろう。
砕「どうかなさったのですか?」
「うん…私ね…零番隊に配属されることになったの」
砕「!…おめでとうございます…」
「……?…どうかしたの?」
私は、一瞬砕蜂ちゃんの顔が歪んだのを見逃さなかった。
砕「…それは、もう二度と懍様に会えなくなるということでしょうか…」
「え?」
砕「それならば、私は懍様の昇任を素直に喜べません…」
と、不満な顔で私を睨んできた。
かっ…
「かわいい~!」
砕「うわっ!」
砕蜂ちゃんの嬉しながらも不満な表情に萌えてしまった。
その結果、抱きついてしまった。
私が男だったら惚れてたね。
いや、実際好きだけどね。
砕「く、苦しいです…」
「ご、ごめんなさい」
いけない。
愛くるしくて、つい力がこもっちゃってた。
「でも大丈夫。瀞霊廷に遊びに来ることが出来るみたいなの」
砕「そうなんですか!…安心しました!」
満面の笑みで私に喜びと安堵の感情をぶつけてくる砕蜂ちゃん。
これはヤバイ。
可愛い。
「それを伝えたかったんだ。今生の別れでもないし、またここに来るよ。それじゃあ、今日は…」
砕「お、お待ちください」
砕蜂ちゃんに呼び止められた。
夜一さんといい、二番隊は呼び止める人多いな、と思いながら振り返る。
砕「あの…久しぶりにお手合わせをしたいのですが…その…ダメでしょうか…」
もじもじしながら私に話してきた。
「うん。構わないよ」
砕蜂ちゃんは嬉しそうにして、手合わせする場所に連れてきてくれた。
勿論、白打を主にした手合わせだった。
その最中、砕蜂ちゃんは鬼動と白打を練り合わせた戦闘方法で向かって来た。
“瞬閧”
それはお世辞にも素晴らしいものとは言えなかったが『この技でいつか夜一様と懍様を追い越してみせます!』と意気込んでいた。
その顔は今まで見てきたどの顔よりも眩しく輝いていた。