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BLEACH~The Thunder God~

第7章 陸ノ刻~荒んだ過去~


『よーし、次』

今は、鬼道の演習をする授業だ。数十メートル離れた小さな的に、より正確により高い威力で当てるという内容だった。

京「破道の三十一"赤火砲"!」

ドンッ! という音をたて、見事的に命中した。京楽だけではない。他のヤツらもしっかり命中させている。特進学級という名は飾りではなく、ちゃんと優秀だった。

(…コイツら、なんで死神を目指してんだろう)

まあ、優秀だから死神を目指す、っていうのも1つの将来設計なんだろうな。それに比べて私は…? なんで死神を目指してんのか分からない。京楽に誘われたからか? 改めて考えると、自分に意志がないことが良く分かる。まるで、傀儡と化しているように…。何かに操られている感覚にすら思えてくる。

『次、神崎』

先生が私の名前を呼ぶと、周りのヤツらがざわざわとし始める。特進学級には、上級貴族や下級貴族、1地区・潤林安の出身が多い。いいとこの坊ちゃん嬢ちゃんが、80地区・更木出身の女に対していい印象を持たないのは確かで、居心地は悪い。それを分かっていた筈なのに、何故断ろうとしなかったのか。

(…だから嫌いなんだ。意志のない自分が)

やり場のない怒りを、この鬼道に込めて。

「…"赤火砲"!」

ドンッ! さっきよりも大きい衝撃と熱風がこの場所を襲う。的は全壊し、 跡形もなく消し飛んでいた。

『…合格だが不合格だ。もう少し自分の意志をコントロール出来るようにしろ。今のままじゃ、周りのヤツらも傷付けかねないぞ。…よし、次!』

はっきり言って、ここにいるどんなヤツらよりも強い自信がある。ただそれは表面的な強さだ。精神的には、ここにいる誰よりも弱いと自覚している。

(…なんで死神になろうとしてるんだろ)

またいろいろと考え込もうとしている。意味があるのか分からないのに…。

浮「いやぁ〜凄い威力だったな」

京「相変わらず懍ちゃんは強いんだね」

「…どうも」

出生の身分とか関係なく私に対して話してくれるのはこの2人だけだ。変なヤツらだ。私と関われば、変な噂とか流れるだろうに…。それでも、この2人ならば許せてしまえそうな雰囲気がある。きっと、この雰囲気が2人に人気が集まる1つの要因なんだろうな。
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