第6章 伍ノ刻~友の結び~
藍染惣右介、かつて五番隊副隊長だった男だ。百年前からいけ好かない奴だと思っていた。あまり五番隊隊舎には行きたくないのは、こういう理由だからだ。アイツは市丸隊長とは違った感じで、あの陽だまりの眼差しで何を考えてるか分からない。平子隊長の後任で、五番隊隊長に就任したようだが、どうにもきな臭い感じがする。
日「俺が知るか。どうせどこかで読書でもしてるか、書道を教えてるか、どっちかじゃないのか?」
雛「ごめんね。分からないよね。はぁ…どこ行っちゃったんだろう…」
日「神崎は何か知らないのか?」
「いいえ…。藍染隊長に挨拶したことがないので…」
雛「そう言えばそうでしたね。神崎さん、今度時間が開いたら五番隊隊舎へ遊びに来てくださいね」
「はい。いずれお伺いさせていただきますね」
雛森さんは、藍染隊長を探しているようで、少し世間話をしたらすぐに出て行ってしまった。彼女は、藍染隊長をとても敬愛してるんだろうなぁ。十番隊執務室のソファに腰を掛けながらそのような考えをしていると。
日「それで、お前は出て行かないのか?」
「なんですか? まるで出て行ってほしいみたいに…」
日「仕事の邪魔だ。どこかへ行ってくれないか」
「そんなに大変なんですか?」
日「松本の奴がサボるからな。どこほっつき歩いてんだか知らねぇが」
「手伝いましょうか?」
日「前にも言ったろ。他の隊士に仕事を任せるほど落ちぶれちゃいねぇ」
「でも、人の善意は素直に受け取っておくべきだと思いますよ? それに、別に隊での区別はないでしょう。同じ護廷十三隊なんだし」
日「……そうか。じゃあ、お言葉に甘えてみるか」
甘えられたので、十番隊の雑務や、書類の…なんか難しいヤツをやった。改めて見てみると膨大な書類の山で、本当に大変そうだ。個人的な意見としては、人に甘えることが出来るのも人格者として重要な要素の1つじゃないかな。変に意志が強い人は甘えようとはしないもんね。でも、日番谷隊長は妙なプライドがある感じはしないし、単純に甘えることが苦手なんだろう。カワイイところあるじゃん。
「こっちの書類、片しておきましたから」
日「ああ、悪い」
そう言いながらも、書類から目線を外さない。本当に真面目な人だ。