第6章 伍ノ刻~友の結び~
鍛錬を終え、身体を休めた後に瀞霊廷内へと帰ってきた。檜佐木副隊長とは別れたが、別れる際に少し顔を赤らめていたのは気のせいではないだろう。
それにしても暑い日だ。ただ歩くだけでも、身体の奥底から汗が湧き出てくる。汗を流したい。アイツの温泉に入りたくなってくる。くそぅ、私からあのお湯を求めるなんて…。
勝手に負けたような思いを持ちながら歩いていると、「神崎さん!」という声が聞こえてきた。私は、その声に振り返る。
雛「こんにちは。いい天気ですねぇ~」
「雛森さん! こんにちは」
その声の主は、少し前に知り合った五番隊副隊長の雛森桃さんだった。まだあどけない少女とも見れる可愛らしい女性だ。なんか保護欲を掻き立てられる。
「どこかへ行くんですか?」
雛「はい。十番隊隊舎にちょっと」
「十番隊隊舎? 何か用があるんですか?」
雛「特にこれといった用はないんですが、少し日番谷隊長に…」
「へぇー。私も行こうかな…」
雛「神崎さんも来ますか? 日番谷隊長も喜ぶと思いますよ」
十番隊は、史上最年少で隊長に就任した神童、日番谷隊長の管轄が末端の隊士にまで行き届いている。そのため、以前隊舎にお邪魔した時も、真面目な印象を受けた。逆に、副隊長は豪放磊落だそうだ。でも、見た限り意外といいコンビだと思うけどね。別に邪険に扱っているわけではないだろうし。うちの八番隊もそんな感じだろう。京楽隊長と七緒ちゃん…伊勢副隊長も、割と十番隊に似たような感じだ。ちゃんと統率はとれてるしね。
日「それで、お前たちはなんで来たんだ…」
雛「特にこれといった用は…」
「暇だったんで、つい」
日「羨ましいぜ。何も考えてないなんて」
前回と変わらず、執務室に通された。机に向かってにらめっこをしている少年が唸っている。副隊長の姿は見当たらないので、どこかへ遊びに行っているんだろう。膨大な書類が机の上に置かれている。大変ね。
雛「少し遊びにきただけだよ」
日「神崎は知らねぇが、雛森は自室に籠って本でも読んでりゃいいじゃねぇか。わざわざここに来る必要はねぇ」
雛「そうかもしれないけど…」
雛森さんは、少し視線を落としながら話す。
雛「最近、藍染隊長を見掛けないから…日番谷くんなら知ってるかなって思って…」