第6章 伍ノ刻~友の結び~
私の斬魄刀と修多羅さんはどうやら馬が合わないのかもしれない。あの後も口論を繰り広げ、私が仲介に入った。まあ猫のじゃれあいみたいなものなのかもしれないが…。
霊王宮で少し身体を休めて、瀞霊廷に降りてきた。あの事件のことで頭がいっぱいだったが、後々に明るみに出てくる筈だ。簡易的に挨拶を済ませただけだったし、ふらふら宛も無く歩くのもいいかもしれない。
「いい天気…」
カラッとした空気に照りつける太陽。地面からの熱反射が、上からも下からも身体を焼きつける。
「暑い…」
ただ歩くだけで体力を蝕まれる。直近の天候で、ここまで炎天下だったことはない。
(どこか茶屋でも入ろうかな…)
檜「あれ? お前は…」
「あ、ども。檜佐木副隊長」
檜「何してんだ? こんな所で」
「いえ、特には…。何処か茶屋にでも入ろうかと」
檜「つまりは暇なんだな」
「そうですね」
檜「それじゃ、俺と一緒に来い。鍛練しようと思ってな」
偶然通りかかった九番隊副隊長さんに誘われて、鍛練することになってしまった。暑いのに良くやるなぁ。副隊長だからか。それとも生真面目なのか。わざわざ鍛練なんて…。
檜佐木副隊長が使う鍛練場にやって来た。木々に囲まれ、涼風に打たれる。意外といい所だ。緑が多く、空気も美味しい。心も穏やかになりそう。
檜「お前、寝たきりで感覚鈍ってないのか?」
「大丈夫ですよ。一般隊士には負けません」
どうやら私に気を遣ってくれた? …みたいだ。落ち着いて考えれば、九十年寝たきりの女が今でも五席にいるのは、周りから見ても異端だろう。
檜「京楽隊長からは、お前は強いと聞いているが、どうなんだ?」
そんなことを聞くということは、私の実力が気になるのだろう。そもそも私を鍛練に連れて来たのも、それが理由だったんだろうし…。
「強いかどうかは分かりませんけど…。勝負してみます?」
副隊長に対して上から言うのは少々気が引けるが、乗り掛かった舟だし、今の副隊長の実力を計るには丁度良い機会だ。
檜「やる気になってくれたか。久し振りの鍛練相手だが、手加減はしない」
「ええ。よろしくお願いします」
通常と同じ要領で勝負することが決まった。斬魄刀、鬼道などの使用を認める本気の試合が始まった。