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BLEACH~The Thunder God~

第5章 肆ノ刻~一時の平和~


十一番隊舎

木刀と木刀がぶつかり合う音で溢れかえっていた。その中心に一人の大男がいた。
妙な髪形をした男。それはただ戦いの中でのみ魂を燃やす剣鬼。どうやら、入隊試験を経ずに、前隊長を討ち取り現隊長に登り詰めた男、“剣八”だった。

更「オラッ!次ぃ!」

あの人は一人で隊士全員と戦い合うらしい。結果は目に見えて分かった。隊士はほぼ全員、あの隊長に恐怖している。木刀を持つ手が震え、鋒が定まらない。それじゃあ、どのような戦いでも負けてしまう。
案の定、剣八の一振りで決着はついた。今までさまざまな剣八を見てきたが、歴代でも最強の剣八かもしれない。

更「おい、女。お前強そうだな」

腰が抜けた隊士に目も向けず、私に視線が刺さった。最初は私のことではない、と思って周りを見渡していたら。

更「お前だよ。金髪の女」

と指名されてしまった。先代剣八も、私と会う度決闘を申し込まれた記憶がある。だから剣八は好きになれない。

私は倒れていた隊士の手から木刀を奪い、剣八の前に立った。

「どこの出身の剣八さんなんですか?」

更「ハッ…北流魂街80地区、更木の剣八だ!」

「八番隊第五席、神崎懍。同じ更木出身同士、仲良くしましょ?」

勝負が始まった。
流石は剣八、斬撃が強い。重い振りに木刀の方が耐えきれないくらいだった。私は攻撃を避けながら、脇を突いた。しかし、交わされる。

(う~ん、この程度で倒れてくれるほど、剣八は甘くないか…)

私は一旦剣八と一刀一足の距離をとって、一気に懐に入った。

更(…いつの間に!?)

懐に入った私は、下からの斬撃を喰らわせた。その攻撃に耐えられなかったのか、油断したのかは分からないが、剣八が宙を舞いながら倒れた。

十一番隊隊士は何が起きたか分からないような顔をしていた。尸魂界最強と謳われた剣八が、ぽっと出の女に負かされたのだ。無理もない。しかし私としては、数年間霊王宮で特訓した身。力の半分も出さずして、決着が着いた。

暫しの静寂、時が止まったかのような静けさが、隊士たちの雄叫びで砕け散った。

「姉御って呼ばせて下せぇ!」
「俺と一緒に鍛練していただきたいです!」
「結婚して下さい!」

気付けば私は、隊士たちに囲まれていた。
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