第5章 肆ノ刻~一時の平和~
「広い…ソワソワしちゃうよ」
白「兄は少し落ち着きがなさすぎだ」
「いや…まぁ……朽木家に住んでる訳じゃないし…」
六番隊隊舎
白哉くん…。もう白哉さんと言った方が正しいけど、彼に六番隊を案内してもらっていた。朽木家当主及び六番隊隊長に直々に案内していただいてる訳だ。少しでも粗末なことをしたら殺される。そんなことを思いながら後を追った。
「副隊長は誰なんですか?」
白「空席だ。いずれ入ってくるだろう」
「何で空席…?まさか亡くなってしまった…?」
心配しながら聞くと。
白「いや、辞任だ。今では店を営んでいるそうだ」
「ふーん、珍しいですね」
六番隊隊士からの挨拶が多い。それは多分、隊長が朽木家当主だからだろう。他の隊も範にしていると聞く。厳かな雰囲気の中で、取り仕切られているんだろうな。そう思うと、八番隊で良かったと思ってしまう。京楽隊長はあんな感じだし、だけど副隊長の七緒ちゃんがしっかりしているし、割りと良いバランスなのかもしれない。
白「兄が縁側で爺様と茶を飲んでいたのが懐かしく思えるな」
「軽く何百年も前のお話ですからね。…百年経つと、色々変わりますね」
白「そうだな」
隊舎を回りながら、白哉さんと色々話した。聞いたところによると、義妹がいるそうだ。その義妹は十三番隊に所属しているらしい。浮竹隊長の隊だ。変に思われることもないだろう。
私は白哉さんに頭を下げ、六番隊隊舎をあとにした。
十番隊隊舎
日「お前が噂の…。松本からも聞いている。俺は日番谷冬獅郎だ」
隊首室ではなく執務室に通された私は、十番隊隊長と会うことができた。白髪に青緑の目、背丈は女性死神よりも小さかった。
史上最年少で隊長の座に登り詰めた神童。仕事熱心の彼の管轄が行き届いている為か、隊士みな仕事熱心な様子だった。副隊長を除いて。
「仕事…手伝いましょうか?」
日「ありがたいが、他の隊の席官に頼む訳にはいかねえ。気持ちだけ受け取っておく」
(真面目だなぁ…)
日「大体何で松本は…。お前のように、少しでも仕事に目を向けるようになってくれれば…」
(苦労してるんだなぁ…)
挨拶だけ済ませて、私は邪魔になる前に十番隊隊舎を去った。