• テキストサイズ

BLEACH~The Thunder God~

第5章 肆ノ刻~一時の平和~


大前田と呼ばれた大男は、顔を青ざめた。

砕蜂ちゃんの後ろをついていく。背中には二という文字がついた羽織を着ている。百年前までは、夜一さんが着ていたものだった。

(小さい身体で頑張っていたんだなぁ…)

砕蜂ちゃんの自室に通された。意外にも殺風景な部屋だった。…でも殺風景の方が今の砕蜂ちゃんらしいかな。

砕「すまなかった。ウチの副隊長が」

「あの大男、副隊長だったんですね」

砕「ああ、大前田希千代といってな。実家の宝石商のことしか考えていない馬鹿だ」

「へぇ~」

砕蜂ちゃんはせっせとお茶やら茶菓子などを用意してくれた。

「…一応、病気から目が醒めたので、ご挨拶にと思いまして」

姿勢を正し、頭を下げた。一応別の隊の隊長だ。最初くらいは頭を下げるだろう。

砕「止めてくれ。私は…その…懍と対等になりたいと思って…隊長になったのだ。頭を上げてほしい」

顔を赤らめながら笑顔で話してくれた。百年前と変わらずカワイイ…。二番隊を取りまとめる逞しい顔を持つようになった。だけど、こんなカワイイ顔もあの時のまま…。より魅力的な女性に変わっていた。
私は頭を上げた。

「砕蜂隊長、ありがとうございます。私にこのようなおもてなしを…」

砕「その…敬語は止めてくれないか…。少し距離が空いたように感じて…寂しい」

いてもたってもいられず、私は砕蜂ちゃんに抱きついていた。

「砕蜂ちゃん、カワイイ~!」

砕「く、苦しい…」



「いつの間にか砕蜂ちゃんも隊長かぁ。カワイイだけじゃなくて、凛として…。ちょっと感動」

砕「まだ私の力は懍には届かない。それは重々分かっている。だが、私の目標は変わっていない。いつか懍よりも強くなって、懍を守ってみせる!」

その言葉に違和感を覚えた。昔なら、そこには夜一さんも含まれていた筈だった。だけど、私と再会して一度も夜一さんの話をしていなかったことに気付いた。

(ああ…きっと砕蜂ちゃんは…)

いつか誤解が解けると良い。いつかまた和解出来ると良い。そしてまた一緒に、背を合わせて戦ってほしい。それと同時に、もう二度と砕蜂ちゃんの前からいなくならないことを、密かに胸に誓った。
/ 89ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp