第4章 参ノ刻~歯車は廻る~
修「しかし、そちは本当に強いんじゃな」
「どうしたんですか、藪から棒に」
修「そちの霊力についてじゃ」
虚化は案外直ぐに解除されたらしい。問題はその後だった。霊力がカラカラになった私は、回復の為に約九十年の眠りに就いていたようだ。
兵「今のおんしの霊力は九十年前と比べて、倍以上の力を持っておる」
兵主部さんが話しながら、部屋に入ってきた。ちゃんと死覇装を整えてから、私は兵主部さんの方を向いた。
「そうなんですか?…あまり気にしてなかったんですけど」
兵「わしらじゃから大丈夫じゃが、瀞霊廷に降りれば並の死神はおんしの霊圧で気絶してしまうじゃろう」
「そんなに…?」
修「そちが気付いてないだけじゃ。もうそろそろ、霊圧を抑えることを覚えたらどうじゃ?」
(…常に抑えているんだけどなあ)
「これでも抑えているつもりですけど」
兵「じゃからこそ、霊圧を抑えることを覚えるべきじゃ」
どうやら無意識の内に、巨大な霊圧を垂れ流しているらしい。しかも、九十年前よりも強くなっているようだ。
兵「わしの離宮に来い。そこでなら、瀞霊廷に戻る前に霊圧を抑えることも出来るじゃろう。そして鈍った身体を動かす良い機会になるぞ?」
確かにずっと寝たきりだった訳だし、九十年分の凝りを取るのは良い。そして霊圧も抑える練習も出来るなら一石二鳥だ。それに…。
兵「どうじゃ?」
「お言葉に甘えて、遠慮なく使わせていただきます」
重い身体を起こし、斬魄刀を抱えながら部屋を出た。
『どうしたの?…その程度!?』
「ぐっ…」
兵主部さんの離宮を借りて、霊圧を抑える練習をしながら戦いの勘を取り戻す為に、雷切と勝負をしていた。
酷いもので、一太刀浴びせることすらできないでいた。
『うーん、動きが鈍い気がする。もっと私を上手く使って!』
「ごめん…。もう少しでできそうなの」
『できそうって…何が?』
(…あと少し、コツさえ掴めれば)
私は霊圧の抑制、戦闘経験の他にもう一つやりたいことがあった。
『…まあいいや。殺さない程度にいたぶれば良い話だし』
雷切が真正面から襲ってきた。斬魄刀で受け止め、白打で振り払う。
「破道の四“白雷”!」
けけたましい轟音が鳴り響いた。