第4章 参ノ刻~歯車は廻る~
浦(懍サン…。アナタまでも犠牲になるなんて…)
テッサイさんの鬼道が藍染副隊長を襲った。
藍「縛道の八十一“断空”」
鬼道長の破道を断空で止めた。その後行方を眩ましてしまった。これでは、追いかけることもできない。…ただそれよりも、この虚化をどうにかするのが先決だろう。
浦(平子隊長たちはまだ助かる余地はあるでしょうけど…)
問題は懍サンだった。他の死神よりも霊力が何倍も大きい故に、虚化を解除するのが難しくなってしまう。彼女の首に掛かったネックレス型霊圧抑制装置を眺めながら、どうしたものかと焦っていると。
?「その娘、妾が預かろう」
そう言って、ボクと同じように霊圧を遮断する外套を身に付けた人が立っていた。
浦「アナタは?」
?「妾は、その娘の虚化を解除することができる」
浦「…懍サンの虚化を!?」
?「そうじゃ。そちは向こうで倒れておる隊長たちを早く治してやるべきじゃ」
浦「待って下さい。アナタは一体…」
?「妾に目を向けてよいのか…?そやつらが危ないぞ」
そう言って、その人は平子隊長たちを見た。すると『危ない』の言葉通り、さらに虚化が始まっていた。焦りながら、先程いた外套を身に付けた人の方へ視線を向けると、懍サンと一緒に消えていた。
テッサイさんが“空間転位”と“時間停止”という禁術を用いて、平子隊長たちを十二番隊舍に移してくれた。
その後、いろいろあってボクたちは現世に永久追放されることになったが、未だ虚化を解除する方法を見つけられていない。どうにかして、虚化を解除する方法を見つけて彼らを救ってみせる。
ふと懍サンのことを思い出す。懍サンは無事だろうか。ちゃんと虚化は解除されたのか。尸魂界はどうなっているのか。気になることや心残りは多いが、年月を掛けてでもいい。いつか平子隊長たちの虚化を解除してみせることを胸に誓った。