第4章 参ノ刻~歯車は廻る~
夜「喜助!情け無いぞ。取り乱すな!自分で行かせた副官じゃろう!おぬしが取り乱すのは其奴への侮辱じゃというのが解らんか!!」
四楓院夜一の声が隊首会に響き渡る。少しの静寂がこの場を包み込んだ。永遠とも感じられるその瞬間を破ったのはじい様だった。
山「…続けるぞ」
流魂街で起こった怪事件が遂に死神にまで起こってしまった。この案件は護廷十三隊の誇りに関わる事態となった。
九番隊の霊圧反応消失の現地に向かうのは、三番隊隊長“鳳橋楼十郎”。五番隊隊長“平子真子”。七番隊隊長“愛川羅武”。鬼道衆副鬼道長“有昭田鉢玄”。そして…。
京「ボクんとこの副隊長を行かせますよ」
八番隊隊長“京楽春水”が口を開けた。
浮「今から呼ぶのか?」
京「そだよ。お~いリサちゃーん」
矢「何や!」
鉄格子の裏から八番隊副隊長“矢胴丸リサ”が顔を出した。淡白な会話をしながらも京楽隊長は矢胴丸副隊長に頼んだ。
山「以上の五名を以て、魂魄消失案件の始末特務部隊とする!!」
それが隊首会での決定事項だった。その他の隊長格は瀞霊廷での待機及び守護を言い渡された。
山「零番隊隊長及び八番隊第五席神崎懍は現地の状況が不明である以上、零番隊をおいそれと動かす訳にはいかん。しかし始末特務部隊の被害が甚大となった折にはすぐ現地に行けるように隊舍で待機せよ」
これが私に課された任務だった。自分の気持ちを優先するなら、すぐにでも現地に向かいたかった。しかし事態が事態。霊王の守護が主な任務である私を簡単に動かすことができないじい様の思いも理解できた。
京「心配かい?…彼らのことが」
「そりゃあまあ…。隊長は何も思わないんですか?」
京楽隊長が私に話しかけてきた。
京「そんなことないよ。リサちゃんが心配で胸が張り裂けそうだよ」
「じゃあどうしてあんなこと…」
京「喜助くんだよ」
「…喜助くん?」
京「彼んトコの副隊長。ひよ里ちゃんが現地に向かってるからね」
「信じて待つのも隊長の仕事…ということですか?」
京「何も言わなかったけど、喜助くんには伝わったでしょ」
隊首会は解散。隊舍への帰路の途中で京楽隊長と話していた。瀞霊廷内では特に騒がしいことは何もなかった。かえってそれが不気味に感じた。