第4章 参ノ刻~歯車は廻る~
零番隊に昇進してはや数年。そろそろ私も零番隊の端くれになってきたはず。
しかし、実際は暇な時が多かった。毎日が休暇と言ってもいいくらい、斬魄刀を握ることがなかった。瀞霊廷に戻って八番隊の庶務を行ったり、ふらふらと散歩したり、昼寝したり…など、割りと自由に暮らすことができていた。
あの事件が起こるまでは…。
『緊急招集!緊急招集!各隊隊長は即時一番隊舍に集合願います!九番隊に異常事態!九番隊隊長六車拳西、及び副隊長久南白の霊圧反応消失!それにより緊急の隊首会を開きます!繰り返します。緊急招集です。各隊隊長は即時━━』
(霊圧反応の消失…?)
『どうするの?懍も行くの?』
「私は護廷十三隊の八番隊第五席だよ。隊首会に出られない」
『零番隊じゃん。総隊長に頼めば出られるんじゃない?』
「私が行く必要もないでしょ。護廷十三隊は強いよ?きっとすぐ六車隊長たちを救ってくれるよ」
地下部屋に来ていた。霊王宮ではドンパチやり合えない。やっぱり鍛練にはここが一番だと思ったから、雷切を具象化して戦い合っていた。
『口ではそう言ってるけど心配そうな顔してる』
「…そう見える?」
『私を誰だと思ってるの?…アナタをずっと見てきた。分からないとでも?』
「…心配とは…少し違うかな」
何故か胸騒ぎが収まらなかった。一月程前から流魂街の住人の魂魄が消失する奇怪な事件が起きていた。もしかすると裏で手薬煉を引いている人物がいるかもしれない。そう思い始めていた。
『九番隊って…。死神の犠牲は初めてじゃない?』
「そうだね…」
『改めて聞くけど懍はどうするの?』
山「火急である!」
総隊長の一声から隊首会が始まった。私は特例を用いてじい様の後ろで隊首会の内容を聞いていた。やはり事態は芳しくないようで、隊長格を五名選抜して現地に向かわせる方向で話が進んでいった。
ダンッと足音を鳴らしながら隊首会に遅参してきた隊長がいた。
浦「ボクに…行かせて下さい…!」
息を乱し、汗が伝う顔で十二番隊隊長“浦原喜助”が訴えかけてきた。どうやら現地に副隊長が向かっているらしい。取り乱しながら一方的に話す喜助さんを、元上官である“四楓院夜一”が一喝した。