第3章 弐ノ刻~牧歌的日々~
“鳳凰殿”
斬魄刀を創った男が構える零番離殿。しかし私が今いる場所は仮初めの鳳凰殿。女性の斬魄刀達が給仕する、意味の分からない状況が体験出来るとてもとても欲望に忠実な離殿だ。
二「違うよ、チャン懍。もっと愛を込めて『お帰りなさいませ、ご主人様!』だYo」
「お帰りなさいませ、ご主人様」
二「Hai!もっと笑顔で」
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
二「違うNe。もっともっとご主人様に気持ちを込めて!」
「…できるかってんだこんなのっ!」
何故か私は斬魄刀ちゃん達と一緒に給仕の練習をさせられていた。まだそれはいい。私も鬼ではない。いちいち怒る訳がない。うん、怒らない。
しかし私は今、現世で流行りのメイド服というフリフリの服を着ている。おまけにミニスカートという肌の露出が高いものだった。それを無理矢理着せられたのだ。私は着せ替え人形じゃない。怒ったぞぉ。
“二枚屋王悦”
斬魄刀を創った男。私の斬魄刀《雷切》も彼の創った“浅打”から誕生した。死神が死神たる要因の一つに斬魄刀という存在があるのは確かだ。
それを創ったんだ。歴史の中の歴史を創りあげた人物だろう。
二「チャン懍。もう少しスカートをヒラヒラさせるイメージDe!」
「これ以上は見えちゃうでしょうが!」
二「それでも良い!その格好で、永遠にここに居ないKai?」
「嫌です。遠慮します」
こんな感じの人だが、斬魄刀への愛は他の誰よりも負けてない。いや、もしかしたら別の感情があるのかもしれないが、それでも誠心誠意に相手にしている。
しかし、それとこれは話は別だ。私はメイド服を脱ぎ捨てようとした。
二「OH!ここで脱ぐのかい?…だったらチャンボクの目の前で脱いでみせてくれYo」
「嫌だって言ってるでしょう。何なんですか。鼓膜生きてますか?」
はっきり言っておかしい人だ。そもそも零番隊にまともな人がいないだろうが、この人はテンションといいついていけない部分がある。もう少し抑え気味で会話してくれると助かるのだが、この訴えも彼の耳に届くことはないだろう。
二「ああっ!見えそうで見えない。これが究極の境地Da!!」
誰でもいい。誰でもいいから、私をこの人から開放してくれぇ~!