第3章 弐ノ刻~牧歌的日々~
“臥豚殿”
それは食の宮殿。曳舟桐生が治める零番離殿だ。
麒「それは俺のだ!お前ぇは少し遠慮を知れ!」
二「違うね!こっからここまでチャンボクのものだYO!」
麒「うるせぇ!ここまで俺のだ!…おい懍!静かに俺のテリトリーに入ってくるんじゃねぇ!」
修「煩わしいのう。そちら少しは黙ったらどうじゃ」
兵「全くじゃ。おんしらはマナーが成っておらん」
曳「いいんだよ。たんとお食べ。勿論、懍ちゃんもね」
「ありがとうございます」
麒「て前ェ…無視すんなよ。こっち向けよ!」
「…うるさ」
麒「あぁん!?」
修「懍、妾のものも食べるかの?」
「ありがとうございます。いただきます」
麒「おい、懍を甘やかすな。あとウゼェ顔しながらこっち見んな!ぶっ飛ばすぞ!」
「飛ばせるもんなら飛ばしてみな」
麒「おおう、やってやろうじゃねェか…痛えなチクショー!」
兵「やめんか。懍も、煽るのは感心せんな」
「…すみません」
曳「まぁまぁ、賑やかでいいじゃないかい。…それじゃあ、デザートでも作ってこようかね」
“曳舟桐生”
義魂の概念を作り、義魂丸を創った張本人。
この臥豚殿は、その義魂の概念、すなわち自らの霊圧とは全く異なる別の霊圧を体内に取り込むことの儀式を行う。それを『食』というスケールでやってのけるだけのこと。
ただ、今回は普通の食事だ。そう、ただのご飯を食べているに過ぎない。
その中で男二人は食べ物の取り合いで口論を唱えている。修多羅さんは、そんな二人を尻目に見ながらちびちびと箸を進めている。兵主部さんも、二人を宥めながら食事している。
桐生さんは、ただの食事を作る時も全霊圧を消費してしまうようで、料理を作り終わるとグラマラスな体型に変貌する。なんだろう、女として負けた感。
「…平和ですね」
兵「わしらが出陣することはない方が良いじゃろう」
「そうですね」
修「しかし、そちは瀞霊廷の護廷十三隊でもあるのであったな。大変じゃろう。妾も共に参ろうか?」
「ありがとうございます。でも、これは私の役目です。霊王殿と零番隊を御守りし、瀞霊廷を守る。大変ですけど、やりがいのある任務ですから」
修「そうか」
未だ男二人が争い合う中、曳舟さんがデザートを持って来てくれた。