第3章 弐ノ刻~牧歌的日々~
“修多羅千手丸”
不気味な女性だ。私は彼女の離殿に来ていた。どうやら、私にしてほしいことがあるようだ。
正直、嫌な予感しかしない。零番隊の中でも特に理解し難い不思議な死神。しかし、その技量は確かなもの。だからこそ、余計に恐ろしく感じてしまう。
修「来たか、懍。さぁ、こちらの部屋に入れ」
突然真後ろから話しかけてきた。何かに誘われるかのように、部屋に入る。そこには天井から様々な模様の布が風に揺られ、ぶら下がっていた。
「これは?」
修「そちが零番隊に来て直ぐの時、妾の離宮のことを話したじゃろう?」
「えぇ…まぁ」
修「そちが死神となって、一度でも死覇装を変えたことはあるかの?」
「そういえばないですね。わざわざ変える必要ないですし」
修「妾は、そちに丁度良い死覇装を織ることができる」
今まで死覇装に困ったことはないが、私に合う死覇装を織ってくれるならありがたい。
「じゃあお言葉に甘えて」
修「よし。では帯をほどけ」
言われるがままに帯をほどいた。当然袴の部分も取れる訳だし、下着姿になってしまった。
修「ふむ。その下着も脱げ」
「あの…死覇装の採寸ですよね?…下着を脱ぐ必要はないんじゃ…」
修「妾の採寸は、裸にならないとしっかり測れないのでな。早く脱いでもらうぞ」
本当かどうかは分からないが、下着を脱がない限り何も始まらない気がしたので怪訝の思惑のまま、脱いだ。
「………」
修「何を恥ずかしがっておる?…良い身体をしておるではないか」
「ありがとうございます…」
修「欲を言えば、もう少し胸が膨らむとよいな」
「どういうことですか?それは…私が貧しいモノを持っている、という解釈でよろしいですか?殴りますよ」
修多羅さんは私を手玉に取るように、胸やお尻をぺたぺたと触り始めた。手つきはいやらしく、本当にこんなので採寸出来るのかと顔をしかめた。
度々修多羅さんの手が敏感な所に当たり、まごついたりしたが、ものの数分で新しい死覇装を完成させた。
それは、今まで着ていた死覇装よりも動きやすかった。
確かにこの死覇装ならば、一つ一つに無駄のない動作が可能になる。
「動きやすい…ありがとうございます!」
私は修多羅さんにお礼を言うと、そそくさとこの場所を去った。