第3章 弐ノ刻~牧歌的日々~
霊王宮に来て早数日。すっかり慣れてしまった。やっぱり慣れって恐い。
そして私は麒麟殿の白骨地獄に浸かっています。
麒「なぁ…女」
「神崎懍です。何時になったら名前覚えてくれるんですか?」
麒「いや…て前ェの身体見てると、本当に《武神》なのかと思っちまってなァ…」
「そんなじろじろ見ないでください。エッチですね」
麒「…いい覚悟してんな。お嬢ちゃん…」
「だから神崎懍ですって」
麒麟殿では湯治が出来る。普段はあまり出来ないことだから、少し嬉しい。但し、白骨地獄だけではダメ。血の池地獄にも浸からないと身体がグズグズになってしまう。
「よいしょ…っと」
麒「うぉい!突然立ち上がるなァ!…前を隠せ前を。いや後ろも隠せェ!」
「はぁ?…どうせ女の身体なんか舐めるように沢山見てきてるんじゃないの?…何を今さら…」
麒「て前ェは俺にどんなイメージ持ってんだ。もし本当にそんなにジロジロと見てたら軽く犯罪者じゃねーか」
私は零番隊に入った時、全ての零番離殿を巡った。どれもこれも凄い力になった。
さすが零番隊、尸魂界の歴史を創った人達だ。
「ふぅ…生き返るぅ~」
麒「ババァみてぇなこと言ってんな。見た目は若いのに、相当年いってんだな」
「うるさい。私はまだ若いよ。ピチピチよピチピチ」
麒「そうには見えねェがな」
「じゃあ、麒麟寺はババァな私の身体を見て欲情したの?」
麒「してねェ!ガキくせェ身体に興味はねェよ」
「そもそもババァでもなければガキでもないわ!」
麒麟寺とはこんな関係になった。軽口を言い合える仲…いや、零番隊は皆軽口言い合えるけど、特に言い合えるのは麒麟寺かな。
傷を癒す為に温泉の治療を必要としている。だから、死覇装を脱がなければいけない。
麒「そんな細い身体で、傷も少ない。肌も白くて水も弾くような清潔感…」
「セクハラで訴えますよ」
麒「女って逞しいな」
“麒麟寺天示郎”
確かに見た目は恐いが、私のことをしっかりと考えてくれている。今度暇な時、麒麟寺の前髪でも切ってやろう。