第3章 弐ノ刻~牧歌的日々~
山「これより、八番隊第五席神崎懍の昇進の儀式を執り行う」
じい様の一喝によって始まった就任の儀。本当に零番隊になるのか、という興奮とワクワク。同時に、私はやっていけるのか、という心配と不安が織り混ざる中、儀式は着々と進んでいき…。
山「これにて、八番隊第五席神崎懍の昇進の儀式を終了する」
じい様の終了の合図が響いた。すると、天井から筒のようなものが降ってきた。
“天柱輦”
零番隊の移動用の乗り物だった。
中から、沈丁花の羽織を着た五人の人物が私を取り囲んだ。
「えっ…ちょっ」
その瞬間、私は五人に連れ去られ、気付いた時にはそこは私が護衛する"霊王宮"だった。
私は霊王殿から“武神”の称号を承った。それは、圧倒的な戦力、戦闘力を秘めた死神に贈られるものだったようだ。
戦闘する者には、必要最低限の生活空間だけ与えればそれでいい、という考えが霊王殿にはあった。
それゆえ、私の零番離殿は用意されていなかった。私の課された任務は、霊王の守護と各零番隊隊長の護衛、そして瀞霊廷の隊士として、護廷十三隊として瀞霊廷を守ることだった。
最初、気圧されそうになったが、瀞霊廷と霊王宮を自由に行き来可能という心の余裕もあって、実際そこまで厳しいことはなかった。
零番隊の五人もそれぞれキャラが濃かったが、直ぐに仲良くなれた。
回復のスペシャリスト《泉湯鬼》麒麟寺 天示郎
義魂の概念を生み出した《穀王》曳舟 桐生
斬魄刀を創った男《刀神》二枚屋 王悦
織物の化身《大織守》修多羅 千手丸
尸魂界全ての名付け親《まなこ和尚》兵主部 一兵衛
この偉大な五人に加えて名前を刻むことが出来た。
尸魂界の最強の死神《武神》神崎 懍
肩書き自体は噛ませ犬っぽいが、霊王殿が仰るには事実私よりも強い死神は、現時点でいないとされているらしい。本当かどうかは分からないが、霊王殿が認めてくださったのだ。胸に刻んで日々研鑽を磨かねば…。
そして今日から、零番隊での平和な日々が始まったのだ。