第2章 壱ノ刻~昇進~
十三番隊隊舎にもお邪魔した。浮竹隊長と志波副隊長に、零番隊の経緯を話した。
志波副隊長からは『お前は相変わらず天才だな!』と肩を叩かれた。
浮竹隊長からも激励の言葉をいただいた。嬉しい。
ついに明日、私は零番隊になる。自室の書物などの整理をして気持ちを整えてから向かおうとしていた。
瀞霊廷に戻ってくることは可能なので、わざわざ整理する必要はないんだけどね。
本棚の整理をしている時に気付いた。ローアングルの視線が私の死覇装の中身の部分に刺さった。
「…何してるんですか。矢胴丸副隊長」
矢「…パンツ見てた」
「…何してるんですか」
矢「……」
“矢胴丸リサ”
眼鏡でおさげという至って真面目な八番隊の副隊長で私の直属の上官に当たる人だ。ただ、少し変わり者で、女傑であるのにも関わらず、様々なものに興味津々な方。興味津々って色々な意味でね。本人は『スケベやない。興味津々なだけや!』と言ってるので、そうなんでしょうね。
現に、私の死覇装をめくってまでも覗いてる。ホントに八番隊は不思議な人達が多い。
最初の頃は『とんでもない変態だ』と思って怒っていたけど、慣れてしまった。慣れとは恐ろしいものですね。今では何故か勝手に私の自室に入り、持参してきたエロ本を読み出す始末。それくらい仲が深まった、という解釈をすればまぁ上々かもね。
ただエロ本を自室に忘れるのは勘弁してほしい。自室を掃除してくれる隊員からの視線が痛い。
私もちょこっと読んだことはあるが、矢胴丸副隊長ほど熱心に見た訳ではない。勘違いすんなよ。
矢「懍、綺麗な足出せばいいのに。お前に集ってきた男どもを悩殺出来るやろ」
「嫌です。寧ろ副隊長は出しすぎです。破廉恥ですよ」
副隊長の死覇装は膝丈数㎝上のもの。頑張ろうと思えばパンツ見えるくらい短い。別に見ようとも思わないけど。
無の境地で黙々と本棚整理をしていたら、副隊長の指が私のパンツにかかった。
「な、何してるんですかっ!?」
今まで以上に過激なスキンシップに少し戸惑い、腕を振り払うも副隊長は…
矢「これ、向こうに行って読みな」
「え、これって…」
と、私にエロ本を渡して帰っていった。
矢胴丸副隊長らしい別れ方だなぁ、と思いながら私はそのエロ本をベッドの下に隠し、再び整理に精を出した。
そして、運命の日がやってきた。
