第8章 彼女が大事すぎて
ドキドキとうるさい鼓動が熱を上へと押し上げ、一気に頬を赤く染める。
口に出した事で、より決意を固めようとしていたのかもしれない。
きゅっとワンピースの裾を握りしめ、美奈子はこれでもかと騒ぐ鼓動を聞きながら琉夏の返事を待った。
待ったのに、返って来たのは予想外の言葉。
「お前は馬鹿だね」
「…え?」
キョトンとする美奈子に琉夏『はぁ』と溜め息をつき髪を掻き分ける。
「無理強いはしないと言ったよね」
「無理じゃない…もんっ…本当に…!』
「それが無理強いだって言ってるんだよ」
琉夏は美奈子の腕を引き寄せると枕の上に美奈子を倒した。
「琉夏ちゃん?」
「俺に気を遣わなくていい、もう寝よ」
「でも…っ」
「あーのーなー…」
琉夏が美奈子の額に指をびしっと弾く。
「痛っ、何するの?(><)」
「俺をヤリたいだけの男と一緒にしないで…って言ったら、まぁ嘘になるけど」
「ほら、やっぱり…っ」
「それでもお前のいつまで続くかわからない準備期間くらい待つって言ってるんだよ、焦らなくていい」
焦っていた事を自覚していながら、
琉夏にそっくりそのまま言われると反発心が勝手に沸き起こった。
「焦ってないもん、私は本当に平気だもん!」
「平気だからって言われて“はいそうですか”で抱けるか!お前を簡単に見てる訳じゃないんだってわかって」
「そんなの…!」
そんなのは痛い程わかってる。
「わかってる…っ!」
大切に、大切にされてるんだと。
息のかかる距離にいながら触れ合いたいと募る衝動に、何度駆られる夜を過ごしていたのだろうかと今更ながら想像すると胸が痛い。
「だから、私…っ!」
そこまで言いかけた言葉を閉ざす様に、琉夏が美奈子の顔をぐっと自身の胸に埋めさせた。
「いいから……寝ろ」
琉夏の低い声、その声にそれ以上言葉が続かない。
琉夏の腕の中に納まる美奈子は、一気に身体の緊張を解いた。