第8章 彼女が大事すぎて
(琉夏ちゃん…喉仏こんなにはっきりしてたっけ…指も細いのに関節ごつごつしてるし…)
自分には無い男性らしい骨格。
その手が、指先が自分に触れるんだと想像しただけでドキドキが耳にうるさい。
「あ、あの…!ホテル中庭のイルミネーション…っ、綺麗だから見に行かない?」
鼓動を誤魔化そうと話を続けた美奈子の視界が、ふっと陰った。
「あ…」
目線の先、ふわっと揺れる琉夏の長い髪。
気付くより早く肩に回った大きな掌が、美奈子をぐっと引き寄せる。
「琉夏ちゃ…」
言いかけた美奈子の唇を塞ぐ、弾力のある柔らかな感触。
「ん…っ」
重なり離れ、角度を変えては何度も与えられる熱い口づけを繰り返し、温かい舌が絡められてくる。
「る…琉夏ちゃ…っ』
唇を縁取り舌を絡める事に熱を帯びる口付け。
キスとは違う唇への愛撫は蕩ける様に甘く、余計な事など考えられなくなっていく。
リップ音が激しくなる頃、肩に回された琉夏の手美奈子の身体を後ろに引いた。
「あ…っ」
トサッとベッドの上に倒され、高い天井が視界に移る。
美奈子の耳の横、ギシッとベッドを軋ませ琉夏が手をついた。
「美奈子……」
熱で艶っぽく見える琉夏の瞳が瞬きもせず美奈子見下ろす。
「る、琉夏ちゃん…」
琉夏の顔がゆっくり近付き、再び重なる唇。
「ん…ふぁ…っ」
次第に激しくなる口付けに、この先の展開が何度もシュミレーションした通りに進むんだ、そう思った時。
「っ、あ…!」
琉夏の掌が腰に触れた途端、ビクッと身体が大きく跳ねた。
一瞬で蕩けていた思考が固まった、そんな感じだ。
力無く口付けに身を任せていた美奈子の身体が瞬時に強張るのを見て、琉夏がゆっくりと倒しかけた上体を起こす。
「……眠いね、そろそろシャワー浴びて寝ようか」
そう言って琉夏は瞳を細め、美奈子の髪をくしゃりと撫でた。