第1章 初キス騒動
「後悔しねえな?」
「…う…うん」
琥一が心配そうに美奈子に尋ねる。
一瞬困ったような表情を浮かべたその顔を見て、泣き出しそうになるものの、こくんと頷いた。
自分よりも頭二つ分大きい琥一を見上げると首が痛くなりそうだとぼんやりと思った。
そういえば、琉夏との身長差もこの位有るが、こんな時どうしたら良いのかなんて全く知らなかった。
だからこそ、『初めて』は面倒なのだろう、と思うと胸がズキンと痛くなる。
「ハア、目つぶってくれ」
「…うん…」
琉夏に口付けられそうになった時とはまるで違う緊張感に身体を強ばらせながら、ぎゅうっと目を閉じる。
肩に乗せられた琥一の手に僅かに力が籠るのを感じて改めて覚悟を決めた。
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その時
「堂々と兄貴と浮気するの止めてくれる?」
「!」
突然、身体がぐいっと後ろに引き寄せられてしまった。
驚きの余り目を見開くと、先程まで目の前に居たはずの琥一から距離が出来た。
「えっ…!?」
何が起こったのかがまるで分からず目を瞬かせると、凍り付きそうな程に冷たい声が頭上から降ってきた。
「…美奈子、お前…何がしたいわけ」
「えっ…あ…っ!」
ハッとして、声の方向に顔を向ければ太陽を背にした琉夏が射抜くようにエミンを見つめていた。
「る…琉夏ちゃん…どうしてここに…」
「そんな事どうでもいいでしょ。今日は、お前も早退な。場所変えるよ」
反論する間もなく
エミンの手をずるずる引き中庭を去っていく二人を見た琥一
「ったく、久しぶりに
あいつのあの目みたけど、やべーな。」