第6章 嫉妬
「お…お前もしかして、桜井琉夏か……!」
桜井琉夏と言えば、ルックスよし、バイク速い、ケンカ最強の人物。
琉夏が高校生のころ悪名高い高校同士がタッグを組み
美奈子が危険に晒された時には、兄の琥一と二人で相手高を殲滅させた伝説がある。
「……俺が桜井琉夏なら、コイツが何なのか分かるだろ?いいか、金輪際コイツには近寄るな。
……じゃあな」
「る、琉夏くん……」
へたりとその場にしゃがみ込む男性を余所に、琉夏は美奈子を連れて店内を後にしたーーーーー
店内からずっと抱かれたままの肩は、男性に触れられていたのと同じ左側。
まるでそこを自分の温もりで覆うように琉夏の手は離れない。
しっかと美奈子の肩を抱き寄せながらも、その琉夏は店を出てからまだ一言も発していなければ、その顔は険しいままだ。
舗道に寄せて停車するバイクに乗るよう指示があるだけ。
琉夏の背中に掴まり帰路する間、
美奈子は急な展開に驚くよりも先ず今しがたの琉夏の発言に驚きを隠せなくて。
(琉夏くんが“お前”って言うなんて……相当怒ってる)