第6章 嫉妬
「…え…?」
「ヒーロー参上ですって……なんか穏やかでじゃないね。」
「る、琉夏くん……?!」
引き寄せられた身体が次に納まったのは、馴染み親しんだ愛しい体温。
それにハッと顔を上げるとそこには険しく眉根を寄せる恋人、琉夏がいる。
「何だぁ~?何よお前。つーか美奈子ちゃんは今俺とお楽しみな予定を立てながらイチャコラしてたんだから返してくんない?」
「な…!何いってるんですか……!」
琉夏が何故この場にいるのかという戸惑いよりも、
男性が恋人を前にして尚、有らぬ決め付けで話している事に甚だしい。
男性は琉夏の存在に関係無いとばかりに再び美奈子の肩に腕を伸ばしてきて、それに流石に美奈子も強く言い返そうとした。
その時、伸ばし掛けた男性の手が肩に置かれる寸前で琉夏にグッと掴まれた、そして―――。
「悪者の癖にヒーローのお姫様にちょっかいかけるとはね……お前、わかってんの?」
「はあ?何言って…」
「美奈子に触るな。コイツに触れていいのはこの俺だけだ……じゃあ」
寸前で男性の手をあしらった琉夏に、また執拗な誘いから助けてくれた事にも美奈子もホッとして、同時に頼もしい琉夏の姿に見取れもした。
だが恥をかかされたと取った男性からしたなら逆上するには十分で。
「だからテメェは誰なんだよ、さっきからよ!何いきなり出て来て勝手な事……!」
「琉夏くん…!」
酔いも回る男性が荒らぶるままに琉夏に殴り掛かろうとした時ーーーー
パシッ
「琉夏くん…!」
男性を拳を軽く受け止めた琉夏ーー
「お前に度胸があるのは、わかった。
ただ…これ以上、しつこいと歩けなくなるぞ。気をつけろ」
警告するが相手は納得出来ず声を荒らげる
「だ、誰だよ、お前?!」
騒ぎから、ギャラリーが集まってきた。
「な、あれって桜井琉夏じゃね?!」
「あの金髪、二連ピアス…間違いねーよ!」
突如として聞こえたギャリーの声に男性も気付いたようで。
美奈子の背を促しながら歩き出す琉夏を指差し、男性は一気に青冷めた。