第5章 魔法使い
美奈子は瞳をゆっくり閉じ、琉夏から与えられる口づけに自分からも応えた。
「琉夏ちゃん……」
唇を離すと目の前にある美奈子の熱に潤んだ瞳。
ドレスに合わせた化粧、長く引かれたアイラインに、影が出来る程に長く多く盛られた睫毛。
唇は紅く、それでいて艶かしく光を帯び、何より琉夏の口づけを受け入れる為に前屈みになったその胸元は、角度からか魅惑的な白く柔肌な谷間が漆黒の生地から覗き見えて。
「あいつらとダンス踊らせなくてよかった」
「え?」
「ダンスしちゃうと男からは丸見えだから」
「……あ」
美奈子の首筋、そこから胸元へと滑らせた琉夏の唇が、『これの事』とばかりに胸の谷間にチュッと軽く降りた。
琉夏の指摘する絵を頭の中に想像した美奈子が、カァッと頬を赤らめる。
だが、そもそもこのドレスを自分に見立てたのは他ならなぬ琉夏自身だ
「でも琉夏ちゃんがこれを着ろって……」
「色を指定はしたよ。
けど…ここまでセクシーなデザインだとは思わなかった……花椿だな」
「え?カレンが選んだって事?」
「全く花椿は……褒めるべきなんだろうな……」
「うん?」
「……優秀だって事だよ」
「え?……っ、きゃ!」
琉夏の腕が美奈子の腕をグイッと引き、反動で前のめりに倒れ込む身体を、次には腰に回した手で軽々と持ち上げる。
『すとん』と降ろされたのは琉夏の膝の上だ、今度は見下げる位置にある琉夏の顔を見つめ、美奈子がドキンと胸を弾ませた。
「美奈子……」
彼の膝の上に対面に跨がるような体勢、マーメイドラインのドレスはただでさえ腰や太腿にフィットしたデザインだ。
それが跨がる事によってシワ一つ寄らないまでにぴっちりと生地が伸び、ストレッチの効いた素材は身体のラインをより一層浮き彫りにさせる。
熱っぽく囁かれた名前、そうして背中から腰のカーブをなぞりながら遊び出す大きな掌の感触に、美奈子が捩りと身じろいだ。