第5章 魔法使い
「へ~え、流石 琉夏さん。美奈子ちゃんに黒いドレスなんて……これを選んだのは琉夏さんしょ?」
「ああ、まぁ」
「美奈子さんの魅力に改めて気付かされました。今夜の美奈子さんに挨拶や話をするだけというのも躊躇してしまうね」
「ですよねぇ?こんなに綺麗な美奈子ちゃんとお喋りだけじゃ勿体なくない?俺としては一曲踊ってほしいんですけど」
「おや、ニーナくんと僕の考えはどうやら同じだったようだね。どうだろう、美奈子さん。一曲お相手願えますか?」
「え?」
「……何だって?」
ニーナに会長、彼等が美奈子に手を差し延べてダンスを願い出る。
パートナーは琉夏だ、だがこういった場ではパートナー以外にダンスを誘うのも誘いを受けるのもマナー違反ではない、むしろ社交の場においての礼儀だ。
ここぞとばかりに美奈子を誘う二人に琉夏が訝しく眉根を寄せる。
その模様を静観していた琥一や嵐も、珍しく会話に加わってきた。
「へぇー、なら俺も…一緒に踊ってみるか?」
悪戯な笑みを顔に浮かべる琥一は、内心 琉夏へのからかいもあるのだろう。
次々と美奈子にダンスを申し出る彼等を横目に見る聖司が、『ハッ』と鼻で笑って口端を上げた。
「お前たちはコイツ相手にダンスを申し込む程、相手に困っているのか?まぁ、コイツと踊るなんてのも滅多に無い機会だしな、俺も踊ってやらなくもないが……」
「聖司、それってキミも踊りたいって事じゃないかい?」
会長の指摘に真っ赤になって反論する聖司を余所に、嵐が美奈子に尚も言葉を上乗せる。
「いつものお前も可愛いけど、今日のお前はなんか
いつも以上にグッとくるし」
「グッ、グッと……?」
「そうだな、確かに男として口説きたくなるな?」
「口説きたくって…えっと……」
「ちょっと、嵐さんに琥一さん
美奈子ちゃん困ってるじゃないっすか。
けど、先輩たちの気持ちわかる。今夜のあんた綺麗すぎる」
「ええっと…っ…」
そのやり取りを見ていた琉夏が口を開いた