第5章 魔法使い
案の定
赤絨毯の続いた先、観音に開かれた荘厳な大広間の扉を潜り抜けた瞬間に、美奈子の姿をみた男子生徒は顔を赤く染め女子生徒からも注目を一身に浴びた。
「……え?美奈子ちゃん?」
「これはまた……美しい。まるで夜露に濡れた黒蝶のようだ……」
「ニーナくん、会長、こんばんは。」
エスコートする琉夏への挨拶も上の空に美奈子に見取れ、また普段の彼女の雰囲気との違いに驚くニーナと会長
「何だ、今日は随分感じが違うな」
「お前だったのか……一瞬誰だか分からなかった」
次いで声を掛けてくる嵐に聖司にと皆が目を見開き驚いている。
口々に今夜のドレス姿を話題にされ、美奈子は照れて『えっと…』と返答に困ってしまう。
「何も恥ずかしがる事はねーぞ。皆今日のお前に見取れてるんだろ……俺も、か」
「コウちゃん……」
飲み物を片手に現れた琥一に、
美奈子は恥ずかしさに頬の火照りが治まらない。
そんな彼女の手が腕に回るエスコート相手の琉夏としては『フッ』と鼻を鳴らす程の優越感で。
先日の屋上会議で全員が美奈子には可愛らしい印象を抱いていた、それを実は妖艶な姿も殊更似合うのだと知らしめる事に成功したのだ。
ましてやそれを見抜いたのは自分だという優越感は存分に気分が良い、良いのだがその後の展開までは考えていなかった。