第13章 可愛いよ、×××…俺が欲しい?
「え?」
ふと前を歩く男性のシルエットがこちらにゆっくりと振り返った。
「……美奈子?」
「コウくん……!」
振り向いた男性、それが琥一だった事に美奈子が瞳をぱちくりと瞬く。
次いで琥一の背後から耳馴染みのある愛しい声が間を割ってきた事で、美奈子は驚きから目を丸く見開いた。
「悪いね、コウ。俺の我儘で……あれ、美奈子?」
「ルカくん…!どうしてルカくんたちがここに……?」
路肩に寄せて停車するSR400からひょこっと顔を覗かせたのは琉夏。
突然現れた琉夏と琥一に、美奈子は驚きからぱくぱくと口を開くも次には嬉しさが込み上げた。
「いや、実は実家の帰りでね。美奈子が前からお気に入りだと話していた店がお袋も気になってたらしくて近くを通ったから、コウに頼んで買ってきてもらったんだ」
「そうだったんだ。まさかコウくんもとこんな所で会うなんて」
「こいつが送ってけうるせーんだよ。放っておくと面倒なんだよ」
なるほどと実感する一方、なんだかんだで面倒見の良い琥一だと知ってる美奈子。
「買い物行くって朝言ってたし、ひょっとしたら会えるんじゃないかと思って」
「え?そうなの?」
「サクラソウがいつでも心に思い描く美奈子のとこに連れてってくれるからね。」
「ルカくん」
頬を染め恋人に会えた喜びを表情いっぱいに露にする美奈子よりも、何処と無く琉夏の方が嬉々とした笑みを浮かべている。
ピンクオーラ満開の二人に琥一は「いつまでも二人の世界入ってんじゃねーよ」といいながら、笑顔で帰って行った。