第13章 可愛いよ、×××…俺が欲しい?
先程までのほっこりとした店の温かさから一変、8月の暑い外気に途端に身体はじわりとした。
(ついでに洗剤も買っておこうかな。シャンプーも切れちゃったし……)
一度部屋で涼を取ってしまえば再び外出するのも億劫だ。
美奈子は通り一本反対にあるドラッグストアへと向かうべく、踵をくるりと返すと公園の中へと入って行った。
ここを通り抜けるのが一番の近道なのだ。
(近道、近道…っと。今日も子供達もいっぱい……)
子供達の可愛らしいはしゃぎ声で賑わう遊具、ジムにシーソーにと人影がある。
昼時のため、芝生やベンチでランチを楽しむ人々の姿もある。
「…あれ、あの人ってもしかして…」
公園を横断するように真っ直ぐ続く並木道、街路樹が景色を作るそこに一人の男性の姿が見える。
美奈子の位置からでは前方を行く男性の後ろ姿しか確認出来ないが、彼の手にはオレンジ色の紙袋が一つ。
それは先程、美奈子が立ち寄った店の物と同じだ。
(ええっと、何だっけ…?確か怖モテだけど凄く素敵でイケメンで、身長も高くとびきり上等の……)
女性店員がうっとりと蕩けた瞳で話していた説明を頭にぼんやりと思い返す。
白いいシャツを翻しながら歩く男性の、綺麗に真っ直ぐと伸びた背中を遠目に眺めていれば、何と無く彼がそれに当て嵌まるような気もした。
まるで揃いのように男性と美奈子とが同じ店の紙袋を下げて歩き、何処と無く気まずく思いながらも、もしや彼が「その人」ではないかと何の気無しに当たりを付けていたなら不意にピタッと。