第10章 ボディーガード?番犬?悪いオオカミ?前編
肩を並べて歩く二人の間で揺れる手と手。
彼の掌の温もりに愛しさを募らせながら、美奈子がふと疑問を口にする。
「そう言えばさっきも聞いたけど、今日はどうして迎えに来てくれたの?びっくりしたよ?」
「んー?いや、お姫様がちゃんと無事にいるかなって、心配になったからね。ヒーローとしてはここは一つ、悪者さんチェックはしとかないと」
「……悪者さん?」
「そ。悪者さん」
難易度の高い琉夏の返答に小首を傾げる美奈子。
琉夏はと言えば「~♪」と陽気な音符を鼻歌に乗せて刻んでいる。
(よくわからないけど……まぁ、いいのかな?)
取り敢えずさっきからぷらぷらと前後に持っていかれる手に、愛しいやら嬉しいやらで胸の温度をほわんと上げた。
琉夏へ振る舞う手料理。
その献立は何にしようかと考える幸せな悩みに、美奈子は会話を弾ませながら彼の愛車へと乗車する。
琉夏が僅かに利き足を引き摺りながら歩くのを、この時は見逃してしまっていた。
後編へ続きますーーーー