第10章 ボディーガード?番犬?悪いオオカミ?前編
「……はぁ」
一日の講義を終え、美奈子は鞄を手に校門へと向かって歩く。
途中、友人達と別れの挨拶を交わしたりして、そうして取り出す携帯電話。
(琉夏ちゃん、今頃バイト忙しいのかな……)
メールの受信や着信があった事を告げるアイコンが画面に表示されていない。
今日一日、震動すらしなかった携帯に寂しさを感じつつも、美奈子は自嘲気味に笑みを溢すと、そっと鞄に携帯を戻した。
(琉夏ちゃんだって頑張ってるんだろうし、寂しいなんて思ってたら駄目だよね。家に帰れば琉夏ちゃんいるんだし……)
彼の笑顔に会えるまであともう少しだからと、美奈子が頭を左右にふるっと振って寂しさを懸命に振り切る。
(告白なんかされたからかな……。今、無性に琉夏ちゃんに会いたい……けど、我慢我慢)
まさか自分が誰かに好意を抱かれてるとは思いもよらなかった。
誰に告白されようとも比較するまでもなく、心は真っ直ぐに彼の物だ。
だが、告白を断る際に改めて自分の想いの丈を口にした事で、愛しい人の笑顔が脳裏を過り、無性に恋しくなってしまった。
「お日様」な彼の笑顔が今、何だか無性に恋しい。
ふと前方を見ると何やら校門付近が騒がしい。
(……ん?何だろ、校門にやたら女の子達が集まってるけど、誰か来てるのかな?確か、似たような事が前にもあったような……)
既視感を覚えてハテナを頭に浮かべる美奈子の、その記憶は正しい。正解。
校門に近付くに連れて女子生徒達から飛び交う黄色い声が、きゃあきゃあと騒がしく響いて耳をつんざく。
一体全体何事かと、人だかりの中心にいる人物を美奈子がチラッと見遣れば、そこにいるのは琉夏だ。