第10章 ボディーガード?番犬?悪いオオカミ?前編
さらさらと歌う葉擦れ音。
木漏れ日が柔らかく射し込む日溜まりのベンチで、腰掛ける琉夏が帽子の頭頂部をキュッと手で押さえてつばを目深に下げた。
(やばい、ちょっと今……かなり泣きそうかもしんない……)
胸が熱くてじんとして、
グッと込み上げてくる感情に、琉夏は通りの良くなる鼻先をすんっと啜った。
以前から彼女の事を男らしいよね、だなんて半分冗談めいて誉めてはいたけれど、改めてそう思う。
惚れ直してしまう。
(あー…バカだな、俺。何を弱気になってんだろ。美奈子ってばあんなにハッキリと大好きだって言ってくれてるのに……)
"情けないな"と呟いて、
そうしてきゅう~って痛む胸をそのままに空を見上げた。
嬉しくて嬉しくて、琉夏は愛しく痛む胸の締め付けに感じ入りながら、目深に被った帽子に隠れて瞳をこっそりと赤らめた。
「お日様」が自分だと言うのなら、今正に自分を優しく照らすこの木漏れ日も、温かな日溜まりも、「俺からすれば、美奈子だってお日様だよ」と―――……。
「……そっか。そこまで言われると踏ん切りもつくな」
「あ……ごめんなさいっ、私ったら、つい……」
「だから謝らないでいいって。小並がその人の事、本気で思ってるんだなって伝わったし」
「……うん」
「呼び出して悪かったよ。遅刻しちまったよな……。こんな風になってもさ、変わらずに友達として接してくれないかな?無理にとは言わないけどさ」
「無理だなんて、そんな事……」
「ありがとう。じゃあ……また後で、な」
「……うん。また後でね」
タタッと、小走りに駆け出す美奈子の足音が背後で聞こえる。
今から講義に向かうのだろう、その場から立ち去る美奈子の小さな駆け足。