第10章 ボディーガード?番犬?悪いオオカミ?前編
広い大学内で「美奈子迷子」になった琉夏が、手に顎を乗せてうーんと頭を捻っていると、突然パシャッと焚かれる目映い閃光。
「……えっ?」
「お名前を教えてもらってもいいですか?!あ、写真ももう一枚!」
興奮した面持ちの女性徒達が、琉夏にお構い無くシャッターを切っている。
これには「ヤバイ」と慌てた琉夏は、咄嗟に明後日の方向を指差した。
―――からの、叫んだ。
「あー……ああ!あんな所にすっごいイケメンが!」
「え?!何処っ、何処?!」
「じゃ、俺はこれで……」
「ええっ?!待ってください、せめて名前だけでも……!」
こっそりと潜入しているのに余計な騒ぎは禁物だ。
それより何より、下手に騒ぎになって美奈子に気付かれてしまっては意味が無くなってしまう。
琉夏は脱兎が如くその場から逃げ出すと、廊下を瞬く間に駆け抜けた。
こういう時の琉夏は無駄に速い。
はば学在学中に、大迫や氷室から逃げる事に関しては一流だった。
よく琥一を出し抜いて、自分はちゃっかり逃げていた琉夏。