第10章 ボディーガード?番犬?悪いオオカミ?前編
頭の中に入っている大学構内図を思い出しつつ、きょろきょろと周囲を見渡す琉夏。
変装もしているし、学生達にも上手く溶け込めているようだと自分に合格点を出した彼は、最早隠れもせずに堂々と廊下を歩いている。
美奈子の後をてくてくと追いながら、悪者チェックを目的とした潜入捜査をしていた
その時、
「………ん?」
(うわっ、ヤバイ……!)
その時、ふと美奈子がこちらを振り返った。
琉夏は慌てて近くの柱陰にササッと身を隠すと、息を止める。
「美奈子、どうしたの?」
「んー…、何か後ろから視線を感じたんだけど……気のせいだったかな」
「やっだ、何それ!モテ発言?!美奈子に声掛けたくても掛けれない男子が熱~い視線でも送ってたんじゃない?やっぱり、はば学のローズクイーンって凄いね!」
「もう、そんなんじゃないったら」
美奈子は柱陰に潜む琉夏に気付く事なく、再び廊下を歩き出す。
美奈子の背中を琉夏は「セーフ…」と、ホッと胸を撫で下ろした。
「……確かに、熱~い視線を送ってる男子ってのはアタリかな」
美奈子の友人が口にした先の言葉はあながち間違いでは無いなと苦笑しつつ、尾行を続ける琉夏。
一定の距離を開けて彼女の背中を追い掛ける。
てくてく、てくてく。
まるで母犬の後を追う仔犬のそれのように。
(うーん……今の所、俺のレーダーに引っ掛かる悪者は居ないなぁ)
―――だなんて、男心の勘を頼りに辺りを警戒して歩く琉夏に、その時突然何者かが彼の二の腕をグンッと引っ張った。