第8章 彼女が大事すぎて
下唇をきゅっと噛み瞳を閉じて『その時』を待っていた美奈子を、ふわっと温かく包む体温。
「る…琉夏ちゃん?」
瞳を開くと、美奈子の身体はすっぽりと琉夏の両腕の中。
「美奈子……」
愛おしむ様に囁かれる名前。
触れ合う素肌の心地好い温もりと、何もせずただ抱きしめるだけの琉夏
「あ…」
(私の気持ちを待っていてくれてるんだ)
「琉夏ちゃん…」
(何でわかるんだろう、伝わるんだろう。
肝心な事や大切な事は、
ちゃんと琉夏ちゃんに伝わるんだ。)
「何も…お前だけが怖いと思わないで?」
「え…?」
「俺だって柄にもなく緊張してるんだ……」
触れ合う肌。
そこで脈打つ琉夏の鼓動。
「琉夏ちゃん…心臓、速いね…」
「言うな、余計緊張するしょ」
腕を緩め、上体を起こし、琉夏が美奈子を見つめながら本音をぽつりぽつり声に出していく
「ふぅ…美奈子と違って…俺は初めてじゃない……」
「うん…」
その瞳の優しさに、透き通る程綺麗な瞳が美奈子を見つめる。
「俺がここまで好きな女を抱きたいって思ったのは初めて……」
「琉夏ちゃん…」
「お前がいやだって言っても、一生離さないと決めてる……だから抱いたならもう、死んでもお前を離さない」
「琉夏ちゃん…っ」
胸が琉夏への『大好き』で溢れてしまいそうになった。
琉夏の心臓に、言葉に、瞳に。
「責任取る…ってーのは古いかもだけど……
大事にする」
何度も何度も怖いと思う度、それをちゃんと取り払ってくれる。
「美奈子……愛してる」
伝えたい、心から。
“言葉で伝えきれない想いを伝える方法”で、琉夏に愛してるともっと伝えたい。
「私もだよ…っ
もう…離さないで…ずっと、琉夏ちゃんの横にいたいっ」
幸せで嬉しくて瞳に滲んだ涙に、琉夏がそっと口づけた。