第8章 彼女が大事すぎて
下腹部から急激な速さで押し迫る熱、瞳を閉じて身じろぎ、抗おうにも身体中に一気に痺れが駆け抜けた。
「やぁ、あ…ああ…んーー…っ!」
ビクビクンッと膝が震えて爪先でシーツをぎゅっと掴んだ。
閉じた瞼の裏側が真っ白になる。
熱い電流が走り抜けた身体はくたりと力が一気に抜け、初めての衝撃にただ呆然としてしまった。
「ちょ、大丈夫?そんな悦かった」
「…あ…」
指を抜き、琉夏が力無く横たわる美奈子の瞳を見下ろす。
優しく頭を撫でてくる掌の温かさに、今にも涙腺が緩んでしまいそうな美奈子
「この続きが何だか……わかるよね?」
美奈子を見つめる琉夏の熱っぽい瞳。
「平気…?」
「…うん」
コクンと小さく頷くと、琉夏がちゅっとこめかみにキスをする。
トクン…と鳴り出した鼓動の音。
それ以外に聞こえてくる、ベルトの外される音と『バサッ』と脱いだ衣服をベッドに放つ音。
琉夏の気配が変わる様子と、露になる逞しい胸板に鎖骨や肩の骨格の張り。
覆いかぶさってくる自分とは違う『男性』のシルエット。
「…っ」
ドキンと大きく胸の内側で跳ねた心臓に瞳をぎゅっとつぶる美奈子
(どうしよう…さっきまで平気だったのに…)
閉じた瞼と頭の中をぐるぐると忙しなく思考が駆け回り出した。
(痛いよね…?どうしよ…怖くなってきたかも…っ)
高校に大学と、周囲から散々聞かされインプットされた『痛み』や『緊張』。
中には“大した事ない”と言って笑ってた友人の顔まで浮かぶ。
(今更もう後には引けないし…でも…)