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【OP】掌の隙間から水が零れ落ちるように、

第2章 いつだって神様は 私に微笑んでくれたことはなかった



02 せかいはわたしをきりはなした


「還無さーん、ここに書いてあるものを買ってきてもらってもいいかしら?」
「わかりました、行ってきますね。」
「気をつけてね!」

別の世界であろう、私のいた世界ではいなかった海賊や海軍がいるこの世界。そこへ何故か飛ばされた私はあれから、マキノさんの酒屋でお手伝いをして生活していた。
住む場所もお金も何もかもない私は(合宿の肝試しの際だから、コスチュームでもなくただの私服しか、私は身に付けているものがなかった)誰かのお世話になるしかなく、話を聞いていたマキノさんがその役目を買って出てくれたのである。勿論、シャンクスさんたちのお世話になるという話も上がったが、私は海賊になるつもりはなかったため断ったのだ。仮にもヒーローを目指している私が、賊に身を落とすなんてこと、できるわけがない。ルフィくんも「ずるい!」と喚いていた。(彼は海賊になりたいらしい)(よくわからない)

そしてここで働いて、ある程度お金を貯めたら帰れる手段を探しに旅に出ようと考えている。先程も述べた通り、旅をするならシャンクスさんたちに着いていく選択肢もあるが海賊にはなりたくない。故にお金を貯め、自分自身で旅をするしかないのだ。私の世界へ、帰るために。


「おっ、還無じゃねーか!」
「…シャンクスさん、こんにちは。」
「おう!今日こそその個性っての、見せてくれよ!」

マキノさんに言われたものを買いに市場へ行くと、そこには目立つ赤髪が見えた。別の道を、とも考えたが行動に移す間もなくバレてしまった。

「嫌ですよ。」
「なんでだよー減るもんじゃねぇだろ?」

シャンクスさんは、私の個性を見たがる。説明したときに、実演はしなかったのだ。個性云々は、私が捕われていたビー玉で一先ずは理解してもらえたし、私に海水が効かないということも判明したからだ。

「私はマキノさんのお使いの途中なんです。忙しいんです。」
「つれねぇこと言うなよー」
「貴方は何を真昼間からしているんですか。海にでも出たらどうですか。」
「海にはもうすぐ出るけどよー。お前の個性とやらが気になるんだよなー。」

彼等赤髪海賊団の皆さんは、私と出会った日からそのまま陸にいる。そろそろ海に出てくれれば少しは静かになるであろうに。


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