第2章 いつだって神様は 私に微笑んでくれたことはなかった
赤髪さんがシャンクスって名前で、黒髪さんがベック、少年がルフィ。そして海賊。
「…海賊って、いつの時代の話ですか?」
「え」
「今に決まってんだろ何言ってんだおめー」
少年にさっきからおめー呼ばわりされる私とは。
「…私は、刻神還無といいます。おめーではありません。」
「そうか!俺ルフィ!よろしくな、還無!」
呼び捨てまでするのかこの少年。赤髪さんのことも呼び捨てしてたからそういう子なのか。
「俺はシャンクス。赤髪海賊団の船長だ。その黒髪がベックマン。」
「自己紹介するのも良いが頭、取り敢えずマキノさんのとこに行こう。ここで話しててもラチがあかねぇ。他の連中も先に行ったようだ。」
「そうだな〜久しぶりの陸だし、酒も飲みてぇしな!よし、行くぞルフィ、還無!」
「…え、私もですかっ?」
そう言うと赤髪さんもといシャンクスさんは、私とルフィくんの腕を引き走り出した。その後ろをベックさんが付いてくるのがわかる。
(ベックさんは酒を飲むのは船でもかわらんだろって言っていた)
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「なるほどな、そういうことか。」
あれからマキノさんという女性が経営している飲食店(酒屋と言っていた)につき、私の状況を説明した。船長と言っていたので、シャンクスさんに話していたのだが後半ちゃんと聞いてくれていたのはベンさんだ。先ほどの相槌もベックさんである。
「つまり還無は、どっか遠いとこからやってきたってことか。偉大なる航路ならまだしも、東の海でこんなこと起こるんだなぁ。」
「いくらなんでも、偉大なる航路でこんなこと起きてたら大変なことになるだろう。」
どうやらこの世界は、海賊と海軍によってほぼ成り立っているといっていいらしい。私の世界でいう、敵とヒーローのような間柄らしいが、彼らのような海賊が、敵のようには見えない。
「個性、か。ここでいう、悪魔の実を生まれながらに宿してるって考えるのが手っ取り早いかもな。」
「悪魔の実…ですか?」
「ああ。その実を食うことで能力者として力を手に入れることができるが、海に嫌われて一生泳げない体になっちまうんだ。」
「…不思議な実ですね。」
「俺らにとっちゃ、お前のが不思議だよ。」
遠くもない席で、シャンクスさんの仲間が騒いでる音が耳に触れる。
(20191020)