第1章 崩される計画
(片付けに来てるって言ってたな……)
そう思いながら棚の方に視線を向ける
そこには何一つ置かれていない
じっと見ているとルクリアがこちらに近付いて来た
「お待たせしました」
笑みを浮かべてそう言うと持っていたトレイをテーブルに置く
乗せていたカップと皿を自分の前に置くと向かい合ったソファに座った
「良かったらクッキーもどうぞ」
「あ、ああ……片付けに来てると言っていたが……」
「はい。ここ、売れたんです」
「売れた?」
「家族向けの別荘なんですけど……私にはもう家族が居ないので」
「……」
「両親も兄も亡くなってしまったんです。2年前に」
「……そうか」
「はい。人気のある場所なので結構高く売れたんですよ」
「そうか。……片付けが済んだら街に戻るのか?」
「はい。街の家も大きいんですが……向こうはそのまま住むつもりです。あ、紅茶、冷める前にどうぞ」
「ああ」
カップに手を伸ばし、口をつける
一口飲むと残りを一気に飲み干した
そんな自分をルクリアが驚いた顔で見る
「何……だ?」
「いえ、あの……火傷しませんでしたか?」
「してない」
「なら良かったです」
そう言い、笑みを浮かべるルクリア
ラディッツは気恥ずかしさを感じて視線をそらすとクッキーを手に取った
それを口に入れると背凭れに寄り掛かる
するとルクリアが何か言いたそうにこちらを見ているのに気が付いた
「何だ?」
「あの……それは尻尾ですか?」
「それ?……コレか。尻尾だな」
腰に巻いた尻尾を解き、軽く振ってみせる
彼女はそれをまじまじと見つめた
「ラディッツさんって……もしかして宇宙人ですか?」
「もしかしなくてもそうだな。サイヤ人だ」
「サイヤ人……聞いた事がないです」
「だろうな」
「何をしに地球へ?」
「……弟を探しに」
「弟さんがいるんですか」
「カカロットと言う……あいつは俺の事を知らないだろうがな」
「そうなんですか……カカロットさん、見つかると良いですね」
「ああ。……なぁ」
「はい?」
「これ、全部食って良いか?」
「は、はい。どうぞ」
返事を聞いて皿を持つ
皿に盛られたクッキーを片っ端から口に入れた
一気に食べる自分を見てルクリアが新しく紅茶をカップに注いでくれる
空になった皿をテーブルに戻すとカップを手に取り、今度はゆっくりと飲んだ
