第3章 記念写真
「何だ?あ、暑かったのか。ライトで照らされてるからな」
「ち、違いますよ。もお……」
そう呟き、小さく溜息をつく
ラディッツはルクリアの頭を軽く叩くと撮影のセットから下りた
「何するんですか」
「……恥ずかしいのはお前だけじゃないぞ」
彼女に背を向けたままそう言うと軍帽を取る
手で適当に髪を梳くと、ルクリアが側に寄って来た
前に回りこむとこちらの顔を覗き込んでくる
「んー?…あ、ラディッツさんも顔赤いですね」
「見るな、恥ずかしい」
「あっ……何するんですか」
軍帽を彼女の顔に被せるようにして置くとスタッフに促されて別室へと向かった
ルクリアが軍帽を取り、小走りに後を追ってくる
個室のテーブルに座ると写真の外装サンプルが出された
「沢山ある……ラディッツさん、どんなのが良いですか?」
「……さっぱり分からん。任せる」
「ラディッツさんの写真なのに……良いんですか?」
「お前の好きにしてくれ」
「分かりました」
そう言い、サンプルを手に取るルクリア
悩む彼女を見ながら出された茶のグラスに手を伸ばした
「……」
家を出る前にスカウターで聞いた通信内容
それはナッパに対しての侵略命令だった
この穏やかな生活をいつまで維持できるだろう
資源の豊富なこの星をフリーザが放っておくとは思えなかった
いつか地球に侵略者が来るかもしれない
恐らく、それは自分よりも戦闘力が高い者になるだろう
(少しでも時間を稼げば……それだけルクリアが生きていられるな)
そう思いながら彼女の方を見た
サンプルの中から1つを手に取り、自分の方に向ける
頷いてみせると安心したように微笑んだ
この笑顔をいつまで消せないでいられるだろう
出来るだけ長く彼女の側に居られる様に
ラディッツはそう願い、ルクリアの横顔を見つめた