第3章 記念写真
「あ、先に紅茶入れましょうか」
「俺がやる。この前、入れ方教えてくれただろ」
「じゃあ、お願いします」
「ああ」
ルクリアが水差しに水を入れて渡してくれる
それを受け取るとケトルが置いてある台に近付いた
ケトルの蓋を開けると中に水を注ぐ
蓋を元通りにすると沸かす為のボタンを押した
沸騰するまで10分程度掛かるだろう
ラディッツはキッチンを出るとリビングのソファに近付いた
床に置いていた紙袋を持つと自分に与えられた寝室に入る
着ていた物を脱いでベッドに置くと、紙袋から出したシャツに腕を通した
入れられていた紙を見ながら着てみるが、細長い布をどうやって結べば良いのか分からない
「何だこれ……ルクリアに聞くか」
取り合えず他の身嗜みを整えて寝室を出た
洗い物をしているルクリアに近付くと背後で足を止める
気配を察して彼女がこちらを向いた
「どうし……あっ、軍服!」
「変か?」
「似合います!……今日、試験を受けに行ってたんですね」
「そうだ。……が、コレが分からん。どうやるんだ?」
そう言い、首に下げた細い布を指差す
ルクリアが水を止めて手を拭くとこちらに腕を伸ばした
何やら複雑に布を絡ませると、それを首元で締めてくれる
「はい、これで良いですよ」
「へえ……全然分からん」
「一度覚えるとすぐに出来ますよ」
「そうか?訓練の時に別の服着るから覚えないとな」
「はい。上手く出来なかったら何度でも聞いてくださいね」
「ああ。あ、湯沸いたな」
「はい」
棚からティーサーバーを出して紅茶の葉を入れた
ケトルから湯を注いでいる間にルクリアがカップを用意してくれる
サーバーをトレーに乗せるとリビングに運んだ
向かい合うようにしてソファに座ると、彼女がまじまじと自分を見つめてくる