第2章 一緒に
自分が来たのが悪かったのかと思っていると、彼女が両手の甲で目を擦って顔を上げた
「驚かせてごめんなさい。1人で居るとどうしても……」
「と、とりあえず……そうだ、紅茶。持って来る」
「ありがとうございます……」
キッチンの方へと向かう彼を見て泣き止もうと大きく息を吸う
早く涙を乾かさなくてはと思っていると、ラディッツが壁の影から顔を出した
「……ルクリア……」
「は、はい?」
「紅茶って……どうやって作るんだ?」
自分の言葉に彼女がぽかんとした顔をして、噴出すように笑う
情けないと思っているとルクリアがこちらへと来てくれた
「一緒に淹れましょう」
「悪いな。……何も分からん」
「全然難しくないですよ。これに葉を入れて……」
淹れ方を丁寧に説明しながらケトルを手に取る
お湯を注ごうとしているのを見てラディッツは口を開いた
「俺が側に居てやろうか」
「え……?」
「1人だと泣くんだろ?嫌なら帰るが……」
「で、でも、ラディッツさんはカカロットさんと……」
「カカロットにはさっき会った。……と言うよりも、見ただけだがな。親父にそっくりだ」
「声は……かけなかったんですか?」
「ああ、ガキを連れてたしな。いきなり兄貴だって言っても困るだろ」
そう言い、視線を彼女の手元から顔へと移す
こちらを見つめる彼女の瞳は泣いていたせいで赤くなっていた
「で、どうする?俺で良ければ、だがな」
「はい。ありがとうございます」
笑顔のままのルクリアの瞳から再び涙が零れ落ちる
泣かせるような事をしたかと戸惑っていると、彼女が涙を拭って笑った
「嬉しい時にも、涙が出るんですよ」
「そ、そうか……嬉しいのか……良かった」
ルクリアが頷いたのと同時に跳ねるようにして後ろに引いた
片手に持っていたケトル
それが無意識に傾いて容器を押さえていた手に熱湯が掛かっていた
「あつ~……!」
ラディッツに手を掴まれ、流水で冷やしながら溜息を吐く
そして困った様な顔をしてこちらを見た