第2章 一緒に
その言葉に僅かに笑みを見せ、ベランダへと近付く
ガラス戸を開けると外に出て空を見上げた
そのまま、地面を蹴ると上空へと舞い上がる
彼女はどんな顔で自分を見送るのだろう
ラディッツは振り向きたい気持ちを抑え、そのまま東の空へと飛び去った
別荘の荷物を入れたカプセルを引き出しに入れる
そのままソファに近付くと、腰を下ろして溜息を吐いた
広いリビングは静まり返って物音一つしない
大きな窓から十分な日差しが入っているにも関わらず、どこか暗いような気がした
家族が居た時はとても賑やかで明るい家だったのに
「っ……」
泣きそうになるのを堪え、目を瞬いた
それでも涙は止まらずに零れそうになる
葬儀の時に声が枯れるほど泣いたのに
目を擦ろうとした時、コンッと小さな音が聞こえた
窓の方から聞こえたと思い、顔を上げる
高層マンションで窓に何かがあたる事は滅多に無いのに
視線を動かすと、窓の端に腕が見えた
手首の上から肘の下までを覆う黒いサポーター
見覚えのあるそれにルクリアは無言で立ち上がると窓に駆け寄った
窓を開けると右側に顔を向ける
そこには外壁に寄り掛かるようにしてこちらを見るラディッツの姿があった
「……なんて顔してるんだ」
「だ、だって……そんなところに居てびっくりして……」
「そうじゃない。泣いてんだろ」
そう言い、腕をこちらに伸ばして指先で多少乱暴に目尻を拭う
冷たい彼の指先が触れて我に返り、とりあえず室内へと招き入れた
「ら、ラディッツさん、何でここが分かったんですか?」
「ああ……コレ。使えば簡単に探し出せる」
いつも耳につけている機械を触りながらそう答える
そして腕を組むと室内を見回した
何部屋あるのかは分からないが、ここだけでも十分すぎるほど広い
壁に掛けてある絵画から視線を彼女に戻して目を瞬いた
泣き止んだと思ったのが、先程よりもひどく泣いている
「ど……どう……した?」
女に泣かれてはどうして良いか分からない
肩に触れようとした手を何度も躊躇させながら彼女の顔を見た
「な、何でもないんです」
「じゃあ、何で泣いてるんだ?」
「ごめ、ごめんなさい」
嗚咽交じりの小さな声でそう返すルクリア
側にあるイスに彼女を座らせるとどうしようかと考える
「えっと……どうすりゃ良いんだ……」