第2章 一緒に
食器を洗い終えたルクリアが手を拭きながら時計を見る
針が10時を回っているのを見て今度は食器を拭いて箱に入れた
昨日までは棚に並べていたのに
そう思いながらソファの背凭れに寄り掛かり、彼女に声を掛けた
「片付けるのか」
「はい。今日で片付けを終わらせないと……」
「そうか」
「少し、寂しいです」
ルクリアが僅かに笑みを浮かべ、丁寧に食器を片付ける
それが終わるとリビングから外へと出た
風にはためく衣類を腕に掛けながら取り込む
最後に戦闘ジャケットを両手で持つと室内へと戻って来た
自分の向かいのソファに座ると肘掛に取り込んだ物を置く
それを1枚ずつ膝の上で畳みながら視線を上げた
彼女を見つめていた自分と視線がぶつかる
「ラディッツさんは……カカロットさんを探しに行くんですよね」
「ああ……」
「カカロットさんを見つけたら、地球を離れるんですか?」
「……」
「?」
「どうするかな……」
「え?」
「俺の仕事は惑星の侵略だ」
「侵……略……?」
「例えば……この地球に居る人間を皆殺しにして、地球を欲しがっている奴に売るって感じだな」
「そう……なんですか……」
「俺が連れ戻したら、弟も同じ事をしなければならん。……させたくはないな」
そう言いながら飲んでいた紅茶のカップをテーブルに置いた
手を止めているルクリアを見て目を細める
「だが……命令だからな。逆らう事は出来ん」
「……」
「何でお前にこんな話してるんだろうな……そろそろ行くか」
立ち上がる自分にルクリアが戦闘ジャケットとアンダースーツを差し出した
それを受け取るとベッドのある部屋で着替えようと階段の方へ向かう
自分の動きを彼女が目で追っているのが何となく分かった
階段を上がると左手にあるドアを開けて室内に入る
正面のベッドにジャケットを置くと着替えるために服に手を掛けた
脱いだ物をイスの背凭れに掛けてアンダースーツを身に着ける
戦闘ジャケットを着ると髪を片手で背中へと流した
このまま窓から出て行こうかとも思ったが、ルクリアに一言言おうと再び廊下に出る
階段を下りるとルクリアが畳み終えた服を箱にしまっているのが見えた
「……ルクリア」
「あ、着替え終わりましたか」
「世話になったな」
「いいえ。こちらこそ、ありがとうございました」