第1章 君の音色/志水
「それより志水。お前が前に弾いてた曲…“シシリエンヌ”だったか?あの楽譜、望に仮してやってくんねぇか?」
…?
『Σちょ…ッ///梁太郎!!』
「何だよ?」
『べつに…今、じゃ…』
「本人が居る前の方が借りやすいだろーが。」
「う、わぁー…つっちぃー乙女心わかって無さ過ぎぃー」
(-д-)
「來村は黙ってろ。んで…志水、駄目か?」
「ぃぃぇ…構いません。ちょっと待って下さい。」
僕は鞄から楽譜を出し、土浦先輩へと渡す。
「サンキュ!おぃ。望、志水から借りてやったぞ。」
土浦先輩は渡した楽譜を顔元でハタハタと振り、ニヤリと笑う。
「…ッ///」
邑林先輩は耳まで真っ赤にして俯いてしまい…
「へぇー、望ったら可愛ぃvV」
と、日野先輩は楽しそうに邑林先輩に抱き付きました。
更に頬を染める邑林先輩。
何となく目を反らせずにいると、ふと、その横に立つ來村先輩の視線が此方に向いているのに気が付きました。
邑林先輩と対処的に、何処か寂しげな瞳をしている來村先輩。
どうしたのだろう、と首を傾げると、瞬く間に表情が変わり、さっきの瞳が嘘のようにニッコリと微笑んでいました。
「ね!!楽譜借りるだけじゃ無くて、いっその事“先生”してもらいなょ!」
來村先輩はポンと手を合わせると、閃いた!と目を輝かせ邑林先輩に言いました。