第2章 君の歌声/土浦
「…望を大事にしてるのは知ってる。だが…恋愛と友情は別物だろ?お前自身は志水の事どう想ってるんだ。」
直球すぎたのか、來村は楽譜を胸で抱くと俯いてしまった。
(ヤッベ。…泣かしちまったか?)
事の状態に少し後悔しつつ、顔をひきつらせていると、來村は俯いたままポツポツと話始めた。
『本当にね、自分でも、よく解らないんだ。…志水君は可愛いし、綺麗だし…あの天使のようなふわーって笑顔をみるだけで幸せな気持ちになるし…何よりあの空色の瞳を見るとドキドキする。…これはさ、“恋”だよね?」
來村は椅子へ座る俺を縋るように見つめた。
「そぅ…なんじゃねぇのか?」
(って……俺に聞くなよ!んなもん、解るか!)
『けど…“好き”なのに、違うみたいなんだぁ。』
「はぁ?」
また意味のわからん事を…ι
『ソレを見極めたかったから、香穂ちゃんと居る志水君に話掛けてたりしたんだけどさ…会って話していく内、よけいに解らなくなったんだ。』
來村は力なくピアノへ手を置くと、足元から崩れるようにしゃがみ込んだ。
話が見えてこない。
軽く溜息を吐き、目線を合わすため自分も椅子から降りてしゃがみ込む。
「だから…何が“解らない”んだ?」
ピアノの足を挟んだ位置から顔を覗き込めば、來村はバツが悪そうに視線を反らし、口元をモゴつかせた。
『……私の友達に…猫を飼ってる子がいて…触りたいが為に遊びに行くんだけどさ…この前、その子が私と志水君が話してるのを見て…』
──“志水君と話してる時の廻って、"猫"を構ってる時と同じ反応だね!”
『…って。』