第23章 勝負の2日間(巻島目線)
観光二日目。
俺らは東堂の提案で着物を着て観光することになった。
着物姿の富永は予想以上だ。
思わず見惚れてしまった。
それは東堂も同じだったようだ。
隣で驚いた顔をしている。
言いたかないが東堂はそれなりに女子に人気があるやつだ。
そして富永も学園1のマドンナと陰で揶揄されている程の人気者だ。
そんな2人が並んで絵にならないわけがない。
周りの連中もチラチラとこちらを見ているのがわかる。
「あの子可愛くないか?隣の彼氏かな?」
「ねぇあの人かっこよくない?」
「なんか凄い美男美女…めちゃくちゃお似合いだよね」
「ん?でもあの髪の毛緑の人も一緒じゃない?」
なんて声が周りから聞こえてくる始末。
なんだかその場にいることが居た堪れなくなってきたところで、この状況を知ってか知らずか富永が少し小走りで雷門へ向かっていく。
すると、富永は下駄が履きなれなかったのかすぐに前のめりに倒れそうになっていた。
慌てて支えこれ以上転んだり逸れたりしないようにと手を差し出す。
そして富永は差し出した俺の手にそっと自身の手を添えた。
そのまま手を引き歩き出すと、周りから
「え!彼氏あっちだったの!?」
「カチューシャの人のがカッコいいのに」
なんて声が聞こえてきた。
(うるせーな。んなもん、言われなくたって自分でわかってるショ。)
周囲の声に腹を立てつつ、富永の手を引き歩いていくと、後ろから東堂が声を上げながらダッシュしてきて富永のもう片方の手を満足げに握る。
なんだかこの状況、側から見るとおかしな光景なんだろうが、もうそんなことはどうでもいい。
俺らは浅草、スカイツリー観光を楽しむことにした。