第23章 勝負の2日間(巻島目線)
この日のメインは東堂が当初より行ってみたいと言っていた、スカイツリーの展望デッキへ行くことだ。
スカイツリーの展望デッキに登り景色を眺める。
壮大な景色を目の前に、俺の頭の中はいつ告白をしようかということでいっぱいだ。
もう今日という日も終わりに近づいている。
だというのに本当に東堂は隙を一切見せない。
何度か試みたが全然2人きりになれるような雰囲気ではなかった。
そんな俺に転機が訪れる。
なぜかたまたま箱学の連中が観光でスカイツリーに来ていたのだ。
荒北や新開が東堂に絡み騒いでいたので、これはチャンスだと思った。
俺は気が付かれないように展望デッキ内のチケットカウンターにいくと、展望デッキのさらに100mほど上にある展望回廊のチケットを購入した。
そしてゆっくりと富永に近づき連中に気づかれないように連れ出す。
最初は驚いてはいたが何も言わずについてきてくれる富永をそのままエレベーターに乗せ展望回廊へと移動した。
100m違うだけでこんなにも違うのかと思うほど、そこの景色は壮大だった。
(告白するのにこのロケーション。最高ショ)
手摺に手を置き目の前の景色に目を奪われている富永の手にそっと自分の手を添える。
(やべー。心臓がはちきれるショ)
驚いてこちらをみる富永にそのまま景色を見ているように伝え深呼吸をする。
そして俺は前を見据えながらゆっくりと自分の気持ちを伝えた。
俺が気持ちを伝えると、彼女はなぜか泣き出してしまった。
泣くほど嫌だったのかと思い謝ると彼女はそうではないと否定する。
『い、いえ、その違うんです!!嫌とかそういうんじゃなくて…う、嬉しくて…その信じられなくてっ、片想い、だとっ思ってた、から…だからっ』
(嬉しくて?片想いだと思ってた?ってことは…)
俺はこちらを勢いよく振り向く彼女にそっと口付けをした。
「こ、これで信じられたッショ?////」
そういうと彼女の顔は見る見るうちに真っ赤に染まっていく。
その姿がたまらなく愛おしい。
そのまま交際を申し込むと即答でOK。
俺は堪らず彼女を抱きしめた。
そしてまたそっと彼女の柔らかな唇に自身の唇を重ねる。
(この子をずっと大切にするショ)
真横で打ち上がる花火を横目に俺はそう固く決意をしたのだった。