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蝶と蜘蛛

第43章 裏門坂レース


私たちは2人のゴールを見届けようと裏門坂の頂上、ゴール付近で観戦することにした。
幹から聞いていた時間からすると、間も無く今泉くんが激坂20mと葛折り400mに入る頃だろう。
さすがにママチャリでここまでついてこれてはいないだろうとは頭ではわかっているつもりでも、なぜだか小野田くんがついてきているのではないかと期待ばかりが募る。

『見えた!』
「んな!?あのママチャリついてきてるぞ!」

興奮気味に観戦している私と田所さんに対して、裕介さんと金城さんは冷静だ。
そしてそのレースはあっという間に終わった。
小野田くんは負けさえしたが、あの裏門坂をママチャリで、全力で登り切ったのだ。
その上、今泉くんも相当本気で踏んでいるように見えた。

「あいつ、面白い登りをしていたな」

部活終わりにそう呟いたのは金城さんだ。

「あのメガネか」
「ママチャリであそこを登ったっショ」
「ま、走りは完全など素人だけどなぁ」
『そうですね。コース取りもめちゃくちゃでしたし、きっとロードレーサーなんて乗ったこともない。 でもなんか、凄かったですよね』
「ど素人…か」
『入ってくれませんかね、自転車競技部』
「どうだろうな。そればっかりはわからねェショ」

その日の帰りは小野田くんの話で持ちきりだった。
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